清春、ライブ2021「残響」で見せた突破者の姿

清春有観客ライブ2021「残響」東京・渋谷文化センターさくらホール公演の様子(Photo by 今井俊彦)


さて、その「残響」の渋谷区総合文化センターさくらホール公演。会場のさくらホールもクラッシックの演奏などにも使用されるホールで、「残響」のコンセプトを体現するのにはピッタリの会場だ。定刻から10分押しでライブはスタート。ステージに登場したのは清春とギタリストのDURAN。DURANの弾くブルージーなアコースティックギターの音から1曲目の「下劣」がスタートした。

前日も自身のイベントでライブを行っている清春だが、このコロナ禍の一年以上を「ANMT」で歌うことを続けているので、喉もタフに鍛えており、1曲目からとにかく歌が素晴らしい。しかもギター1本なので、演奏に埋もれることもなく歌声がホールに響き渡る。2曲目の「凌辱」からピアニスト・園田涼が加わる。東大卒という経歴を持つピアニスト・園田は、今回が初の清春との共演となる。その園田のピアノがとてもエモーショナルでDURANの熱いプレイと相まって演奏のテンションがどんどん上がって行く。その演奏に絡みながら清春の歌の圧がどんどん上がって行く。大きな声というより、声の圧がすごく、ホールに清春の声が充満していき、アコースティックなのに癒しという感じではなく、オーディエンスも集中して一音一音に耳を傾けているのがわかる。


Photo by 今井俊彦

3曲目の「グレージュ」の後にメンバー紹介のMCを挟む。これだけ完成度の高いパフォーマンスを行いながらMCがざっくばらんなのも清春らしい。そのMCでオーディエンスも緊張がほぐれ、張り詰めていたホールの空気が少し緩むのがわかる。MCを挟んだ4曲目は「EDEN」ではDURANはギターをエレキに持ち変えた。このエレキの音がかなり幻想的で、ピアノの音とともに前衛的な空気を作りだし、清春の歌もそこに呼応して行く。勝手な妄想だが、寺山修司が生きていたらきっと一緒に何かをやっているだろうなぁと思った。

5曲目の「罪滅ぼし野ばら」の後に再びMC。ここで翌日から発出される緊急事態宣言について触れる。「この公演も最初は50%しかチケットを売ってなくて、その後100%売っていいってなったまま緊急事態宣言。ご苦労さんです」と皮肉たっぷりに話すとオーディエンスから小さな笑いが起こる。この日もオーディエンスはマスク着用がマストだし、声を出すのはNGだ。ライブも20時までに終演しないといけない。そんなことを知っていて、清春がオーディエンスに問いかける。「今何時? 8時までにライブ終わらないとだから時間教えて」と。会場から返答はない。再び清春が問う。「じゃなくて、今何時?」と。何度が問うと「6時過ぎ!」と答えるオーディエンスが現れた。「ありがとう。喋っちゃってるじゃん!」とからかうと会場から大きな笑いが起きた。

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