トーキング・ヘッズのティナ・ウェイマスが名人たる所以、鳥居真道が徹底考察

記事に出てこないTom Tom ClubのTシャツ(Photo by 鳥居真道)

ファンクやソウルのリズムを取り入れたビートに、等身大で耳に引っかかる歌詞を載せて歌う4人組ロックバンド、トリプルファイヤーの音楽ブレインであるギタリスト・鳥居真道による連載「モヤモヤリズム考 − パンツの中の蟻を探して」。第25回は、映画『アメリカン・ユートピア』でも演奏されたトーキング・ヘッズ、ベーシストのティナ・ウェイマスのプレイを考察する。

6月の頭に『アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン』と『アメリカン・ユートピア』という音楽映画2本を2日続けて観ました。どちらも素晴らしい内容で非常に満足しております。

先月、アレサの歌唱について取り上げた時点で『アメイジング・グレイス』は未見。この映画は、かなりインパクトがあってそれまでの音楽観を変えたほどでした。音楽好きの一人として、音楽に対してそれなりにリスペクトを捧げているつもりでしたが、それでも全然舐めていたのだと実感せざるを得ませんでした。それほどアレサのパフォーマンスは驚異的なものだったのです。アレサという才能を持てたことを、人類は誇りに思うべきでしょう。

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『アメリカン・ユートピア』は、特に前情報を入れず、アメリカの苦境を寓話的に表現しているのかな~などと適当な想像を働かせて観に行ったところ、思いの外、その表現がストレートだったことにまず驚きました。これまでアメリカの文化に対して、太平洋を挟んだお隣の国の文化だと考える節がありました。お隣だから身近といえば身近ですが、太平洋はかなり広く、決して距離を無視することはできない。バーンたちのパフォーマンスや演出に深く感動する一方で、その隔たりが強く意識されたのです。その隔たりとは具体的に何であるのか自分でも判然としませんが、ごくごくシンプルに生活様式の違いなのかも知れません。

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