ブラック・ミディが濃密に語るカンとダモ鈴木、キング・クリムゾン、カオスな音楽世界

ダモ鈴木からの学び、ジャンルを超越すること

―実はこのインタビューの前に、ダモ鈴木さんにブラック・ミディとの関係について話を伺っています。ダモさんとの出会いと共演から学んだことについて教えてください。

モーガン:個人的には一番学びが大きかったギグだと思うね。今まで一度も会ったことのないアーティストと一緒に何百人もの観客の前で演奏するという彼の意欲に感激した。その点において彼を尊敬しているよ。学んだのは、とにかく流れに身を任せるということ。その流れはパワフルなものになるから。ものすごくクールな人だった。本当にすごいことをやっていると思う。

―カンの好きなアルバムは? 

モーガン:うーん、『Tago Mago』だね。

―どんなところが好きですか?

モーガン:流れがすごく良い。カンのアルバムは全部最高だけど。『Tago Mago』の「Halleluhwah」という曲は奇跡としか言えないよ。だからやっぱり『Tago Mago』だね。




―ダモさんはまた、「ブラック・ミディと出会ってから何年か経ちましたが、これからも当時のように、どのジャンルにも当てはまらない方向に進んでほしい」と仰っていました。「どのジャンルにも当てはまらない」というのは、自分達の音楽や今回のアルバムにおいて重要だと言えそうですか?

モーガン:もちろん! それは活動を始めた時から意識していたことだ。俺たちは、人に「このバンドはこういうものだ」などと言われたり、枠にはめられないようにしようという思いが強くあった。そういう風に音楽をカテゴライズするのはよくあることだし、その人の立ち位置でその人なりに理解しようとしているのだと思う。俺たちを他のバンドと比較したり引き合いに出したりするのを聞くと、その人が今までにどういう音楽を聴いてきたのかという背景が見えてくる。数年前は、他のバンドと比較されると「いや、そういう感じじゃないんだけどな」と思ってフラストレーションを感じていたりしていたけど、その人の大好きなバンドと俺たちを比較しているのなら、それ以上の褒め言葉はないんだなということに気づいたんだ。でも、どんな枠にもはめられたくないという思いはあるよ。それに俺たちの作曲の仕方は自然な感じだから、「じゃあマスロックの曲を作ろう!」とか「ノイズロックの曲にしよう」とか「フォークっぽい曲をやろう」と意識して作曲をしているわけじゃないからね。音楽が自然に出てくるんだよ。

Translated by Emi Aoki

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