本編ラストは「サマーレイン・ダイバー」。幻想的なオルタナティブ・サウンドと透き通ったメロディが溶け合う、どこか讃美歌のような神秘的な響きを宿した名曲が、果てのない空へとどこまでも美しく伸びていく。夢幻と現実の境界が揺らぐようなその音像は、まさに一度限りのこのシークレット・ライブのエンディングに相応しいものだったと思う。ステージを去る時のメンバーが笑顔に満ちたものすごくいい表情だったのも印象的だった。彼らにとっても、きっとこんなライブ体験は二度とないだろう。
2日後にはすべて撤収され、再び何もない、ただ砲台跡だけが静かに佇む島となった第二海堡。けれど2021年、パンデミックによって世界が大きく揺れ動く過渡期の中で、King Gnuがこの場所で初めてその音楽を歌い鳴らしたという事実は決して消えることなく、また歴史の一部となっていく。今回のRed Bull Secret Gigは、その演出含め、前人未到のフィールドを自身のビジョンで切り開いていくKing Gnuらしい、一度限りの素晴らしいアートでもあった。
また、ライブ会場を突き止めた人のみが参加できるオンラインライブ配信のほかに、「シークレットライブ映像の一部」と、制作の舞台裏に密着した「ビハインドザシーン」の公開が2021年7月22日に決定。Red Bull TVから視聴できる。
<イベント情報>King Gnu「Red Bull Secret Gig」2021年7月4日(日)
=セットリスト=
1. 千両役者
2. Sorrows
3. 傘
4. McDonald Romance
5. 飛行艇
6. Slumberland
7. The hole
8. Teenager Forever
9. サマーレイン・ダイバー
Red Bull TV:
https://www.redbull.com/jp-ja/app