元乃木坂46・中元日芽香と手島将彦が語る、メンタルヘルスを含めたアイドル論

ー手島さんも現在ミューズ音楽院で講師をされていたり、過去にマネジメント業やミュージシャンとして活躍されている中で、そういう方は見てきましたか?

手島将彦(以下、手島):やっぱり見てきましたし、産業カウンセラーをやり始めたきっかけの1つになっていると思います。「私の悩みは芸能人特有のものでもなかった」と中元さんが著書『ありがとう、わたし 乃木坂46を卒業して、心理カウンセラーになるまで』で書いてらっしゃったのですが、大事なことですよね。どんな職業でも、それぞれ大変なものは大変だし、逆に楽しいものは楽しいし、みなさんに当てはまるのかなと思いました。著書の自己紹介のところで「自分とは何か、実を言うとよく分かりません」とあって、共感したんです。そもそも自分のことは分かることにしてるけど、結構分からないですよね。

中元:私は15歳の時に「自己紹介ってなんて難しいんだ」と思ったんですよね。あらためて「あなたのセールスポイントってなんですか?」、「ファンの人に対してどういうことが提供できますか?」と訊かれた時、何もないなということが浮き彫りになって、この世界に入って早々にショッキングでした。今カウンセリングをしていても、相談に来る方の中には大学生もいらっしゃいますし、30代でキャリアを重ねている方でも、一応肩書きはあるけども、「自分ってどういう人なんだ」、「どういうことが好きなんだ」と訊かれたら、分からない方も多いと思います。

手島:自己アピール的な自己紹介を求められるとき、自分のことを盛って話すような感じになって、それに抵抗を感じたり、なかなか慣れないなと思ったりすることもあると思います。「自分とは何か」ということを自分だけで把握するのは結構難しいですし。自分で気づいた自分自身というものはある意味全部正解だと思うんですけど、「キャラを求められる」「キャラを作る」という場合にはどこかしら良い面、悪い面の両方がありますよね。

ー中元さんは乃木坂46という大所帯で、自分のパーソナリティな部分を場合によっては出していくことに関してはいかがでしたか?

中元:例えば同じ子が3人いたら、差別化を図らないといけない。「自分だけのものってなんだ?」って悩んだことはあります。

手島:一般の人でも、なんとなくグループの中でキャラを演じることがあると思うんですよね。それが自然に自分のキャラクターと合っている人は、あまり苦労はないのかもしれないですけど、無理をしていることがあると大変だろうなと思います。でも、キャラクターを決めることで落ち着く面もあるし、ひとつではなくていくつかのアイデンティティを持つことでやっていけるということもあるから、決してすべてが悪いということではなくて、バランス次第だとは思います。

中元:最初から蓋をしないフラットな状態の中元日芽香でステージに上がれるかと言うと、そんなにハートが強くないんです。そうなると、立ち振る舞い、言動みたいなところで覚えてもらいたい。その流れで自然とスイッチが入るようになって、キャラクターができあがったんだと思います。オンの自分でいるのも楽しかったです。

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