HYDE、1stアルバム再現ツアー『ROENTGEN』を出すことは僕にとってロックだった

「20th Orchestra Tour HYDE ROENTGEN 2021」初日公演の様子


「『ROENTGEN』を作った2000年頃、『ソロはやるな』とかそういう色んな意見もありました。だけど、自分だけの宇宙を作りたくて仕方がなかった。誰かの意見を常に聞くのも、もちろん素敵なんですけど、自分だけのものが頭の中にありながらも、それを作らない選択肢を選ばなければいけないのが嫌で。20年前に無理を言って、本当にワガママな限りの作品を作らせてもらいました。そしたら、こうしてみんなの前でツアーが出来た。……人生って分からないね」。この日、HYDEの発する言葉は「歌える喜び」に満ちていた。アーティストと観客が一緒になって、お互いに高い温度で楽曲が演奏する/される幸せを噛み締めている。大袈裟ではなく、1つのユートピアのようにも感じられた。



コンサートは後半戦になり「前から結婚式で歌えるような、幸せを形にしたような曲を歌いたいなと思っていて。僕的にはこの曲を(結婚式で)流して欲しい」と話して、ここでも初披露の楽曲「FINAL PIECE」を歌った。人生讃歌のような「運命の人と出会えた幸せの歌」と言葉にすれば簡単だが、それを圧倒的な表現力と説得力を持って楽曲に昇華していた。僕が座っている席の後ろで、すすり泣いてる人の声が聴こえた。 

間もなくコンサートが終わりを迎える頃、HYDEが静かに語り始めた。「『ROENTGEN』というアルバムが出来た当時、デジタルだったりダンスミュージックだったり、ヴィジュアル系も盛り上がっていましたから、こんなアコースティックアルバムは誰も求めてなかった。だけど、こうやって20年も楽しんでもらえるアルバムが出来たことが、自分自身でもやって良かったなと思います。『ROENTGEN』って不思議なタイトルはね、まさに時代に逆行する意味を込めています。ロックってうるさい音だけじゃなくて、反抗するとか時代を変えていこうとする力だったりとか、そういう意味もあると思うんですね。だから、あの時に『ROENTGEN』を出すことは僕にとってロックだったんです」。流行に乗らない新しい表現というのは、いつだって最初は否定される。それでも自分の中で正しさと覚悟を持って形にしたことで、今、彼の音楽に賛同した者たちが集まり、素晴らしい景色が生まれたのだ。

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