サイバーセキュリティの開発者から国際指名手配犯になった奇人、ジョン・マカフィーの生涯

ジョン・マカフィー(Anthony Kwan/Bloomberg/Getty Images)

ジョン・マカフィーは天才だった。それと同時に、犯罪者で、ガンマニア、殺人の容疑者でもあり、妄想の中にいるヒットマンからの狙撃から身を守るために窓際にベッドのマットレスを立てかけ、その汚れた手で朝のテキーラ・サンライズを飲むのが好きな男でもあった。大統領選に立候補しようとしたこともある。そして2021年6月23日、人生を終えた。

マカフィー氏はバルセロナの拘置所で自殺しているのが見つかった。当時75歳だった。スペインの裁判所により、疑わしい仮想通貨ベンチャーに金を集める詐欺を働いたとして、アメリカへの強制送還が決められたすぐ直後のことだった。彼の死は驚きだったが、多くのアメリカ人にパラノイア(偏執病)を身近に感じさせた男として、その不名誉な最後は予想通りだったとも言える。

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2015年にメンズ・ジャーナル誌に掲載した記事の執筆のため、テネシー州レキシントンにあったマカフィー氏の自宅に取材した際、私はその片鱗を感じた。彼は手足を泥まみれにして、自分がメキシカン・マフィアのシナロア・カルテルに追われているという証拠を探し出そうとしていた。彼がついに見つけたと言わんばかりに掘り出したワイヤーは、ガス管の接続部だった。辺りに捨てられていたクリームチーズのパッケージを指差し、「これはカルテルのスパイの特徴だ。あいつらはクリームチーズしか食べないんだ。多分タンパク質を補給してるんだろう」と、言い放った。

Translated byby Kazuhiro Ouchi

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