SUGAが語る、BTSが世界制覇後もハングリー精神を保ち続ける秘訣

ーピアノと音楽に対する子ども時代の愛を歌ったソロ曲「First Love」が大好きです。歌詞を見る限り、音楽への愛はあなたにとっては苦しみの源でもあるような印象を受けるのですが、その背後にはどのような想いがあるのでしょうか?

「First Love」制作中は、複雑な感情を表現したいと思っていました。初恋はいいこと尽くめではありません。苦味もありますからね。そういうわけで、パン氏(HYBE創設者)に初恋という比喩を使って僕と音楽の初めてのふれあいを重ねてみることについて相談しました。この曲では、ピアノが愛情の対象として描かれていますが、それは友人や他のどんなものでも良いと思います。そこから、初恋を通じて経験するいろんな感情を表現したかったんです。



ー歌詞のなかでご自身が経験したうつ病などの苦しい経験についてオープンに語っていますね。いまはどうですか?

いまは落ち着いていて、気分も良いです。でも、こうしたネガティブな感情は、現れては消えるものです。寒い時期と似ていますね。毎年繰り返しやってくることもあれば、1年半おきのときもあります。でも、の作品を聴いて心が穏やかになったり、こうした感情を描いた歌詞に慰められたりしたというコメントを聞くと、すごく嬉しくなります。とても励みになりますね。誰にとっても、こうした感情は隠さないといけないものではないと思うんです。それは表現され、話し合いの対象となるべきものです。が感じているどんな気持ちであれ、以前のように表現できる準備はいつでもできています。

ーBTSだけでなく、ご自身や他のアーティストにも数多くの曲を提供していますが、普段の作曲プロセスについて聞かせてください。

作曲プロセスは、楽曲によって全然違うんです。頭にパッと浮かんだ言葉から組み立てていくこともあれば、「こういう感じに歌を展開してほしい」と、リクエストを受ける場合もあります。たいていの場合は、テーマをひとつ決めて、そこからさらに大きなテーマへと自由に発展させていきます。でも普段の作曲では、まずはテンポを決めて、メロディー、ラップ、最後に歌詞という順番で作業します。これが普段のプロセスですね。

ーギター演奏のほうはどうですか?

肩の調子がとても良いので、ギターも再開しました。もちろん、練習のために他のアーティストの曲をコピーしていますし、いつか弾き語りができるようになるのが楽しみです。いまは、それがの目標ですね。


BTSのSUGA(2021年4月6日、韓国・ソウルにて撮影)
Photograph by Hong Jang Hyun for Rolling Stone. Fashion direction by Alex Badia. Shirt and pants by Dior Men.

「DOPE」のなかに、スタジオで作業に没頭するうちに青春が過ぎていくことを歌った素晴らしい歌詞があります。あなた自身は、後悔することはありますか?

スタジオにこもって作業していたことは後悔していません。あの頃があったからこそ、現在、そしていまこの瞬間のチャンスが与えられたのですから。なので、悔やんではいません。でも、たしかに時折「どうしてあんなに長い時間をスタジオで過ごさなければいけなかったんだろう?」と思うことはあります(笑)。どうしてもっと早く仕上げられなかったのか不思議です。身を粉にして働くきらいがあったんです。どうしてもう少し休んだりリフレッシュしながらできなかったんだろう? と考えることはありますね。

Translated by Shoko Natori

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE