UAと浅井健一が語る、AJICOが歌う「新世界の夜明け」

音だけじゃなく、言葉の面でもセッションをする

―曲を作った浅井さんはUAさんに歌詞を書いてもらうとき、こういうイメージでというリクエストはしないんですよね、きっと。

浅井:しないね。

―どうですか? 浅井さん自身、素晴らしい作詞家ですが、UAさんの歌詞はどんなふうに受け止めていますか?

浅井:いいと思うよ。UAの正しい気持ちが伝わってくるからさ。正義感と言うか、世界が本当に良くなって欲しい、みんなが楽しく、笑顔でいてほしいっていうことだけだと思うんだよね。それはまったく自分も同じなので、すごくいいと思う。どんな歌詞を書いてくるのか、毎回楽しみだよ。

―今回、特に歌詞がいいなと思ったのは、どの曲ですか?

浅井:そうだね。どれも好きだけど、「惑星のベンチ」かな。



―この曲の歌詞はUAさんと浅井さんの共作になっていますが。

浅井:“サヨナラ言う時は瞳をあわせる 一瞬でいいから それはきっと残る 雪として決して溶けない”というサビは、元々あった自分の歌詞を、UAもそれが合うって使ってて。

―じゃあ、この曲は浅井さんが書いた歌詞が元々あったんですか?

浅井:そう。他の曲も俺が書いた歌詞があるんだよ。でも、UAがメインで歌うわけだからさ、やっぱりUAの解釈で、UAが自由に書いたほうがいいと思ってるからさ。もちろん自分が書いた歌詞も気に入ってるから、それはいつかまた出せばいいかなと思ってるけどね。

―UAさん、いかがですか? 浅井さんの歌詞がついているものに新たな歌詞をつけるっていうのは、なかなか大変ではないですか?

UA:できたら、その歌詞は聴きたくないんですけどね、正直(笑)。でも、歌詞を歌っているものを渡されることがあるので、つい聴いちゃうんですけど(笑)。「惑星のベンチ」に関しては、最初はそこを、私、英語にしていて。それもありかなって思って、できるだけシンプルな英語で書いてたんだけど、段々、そこは元々の歌詞を入れたら、他とも辻褄が合うように思えてきて。しかも、《雪》ってベンジーの世界では印象が強いワードで、《雪として》消えるのか消えないのか、ちょっと不思議なニュアンスにはなってるけど、《サヨナラ言う》って別に、誰かとお別れするだけじゃないと思うんですね。さっき言った内観的に新世界を見るって意味で、昨日の私にお別れとか、こういう関係とはお別れとか、もっと新しい関係になろうとか、もちろん時代的に資本主義とはもうお別れってこともあるかもしれないし。

浅井:ハハハ。

UA:いろいろな《サヨナラ》があって、でも、それもちゃんと理解して《サヨナラ》しないと、本当に新しくなれないという意味で、《瞳をあわせる》っていうのはぴったりだと思ったんです。

―音だけじゃなくて、言葉の面でもセッションしているわけですね。

UA:「惑星のベンチ」に関しては、ほんとそうですね。サビの一番重要なところがね。

―4曲目の「L.L.M.S.D. -Lonely Lonely magic Smiley Dress-」は浅井さんが書いた歌詞をそのまま使った、と?

UA:そのままですね。これは決め決めでいただいて。

浅井:ちゃめっけたっぷりのこの歌詞は、UAが歌ったらいいなと思ったんだよね。



―最後の、“ちょっと褒めすぎかも”“だいぶ褒め過ぎ”というUAさんと浅井さんの掛け合いがすごくいい感じですね。

浅井:そうだね。もうちょっとすっとぼけたかったんだけどね(笑)。

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