UAと浅井健一が語る、AJICOが歌う「新世界の夜明け」

UAの歌詞へのアプローチ

―今回の4曲の歌詞からは今の世界の反映や世界に対する反応が感じられるのですが、歌詞を書く時、UAさんはどんな思いやメッセージを込めたのでしょうか?

UA:実を言うと、これは25年変わってなくて、あんまり最初に目的を持ってできないんですよ。物事が。料理する時でも何を最終的に作り上げるか思って作ってなくて。

浅井:すげえな、それ(笑)。

UA:絵を描く時でも、最終的にこうするために、今はこれを描いてるってできないんですよ。っていうのは、私自身の問題でもあって、目標を掲げると、そこに行けなかった時に、えぇってがっかりするっていうのがどうも苦手みたいで。最初は割と感覚的にしか進められなくて、自分が新鮮だな、おもしろいなと思う方向にどんどん進めていくのみなんですよ。でも、結局、それがなんでできるのかというと、自分を信じているからなのかな。自分が思っていることや考えていることが唯一正しいと思っているわけではないけど、間違ってはいないと思っているし、真っ当だと思っているし。

浅井:信じとるからね。

UA:そう。だから、自分の感覚だけを頼りにしていっても、結局、筋が通るっていうのが正直、あるんですよ。

浅井:俺も同じだな。うまい具合に言うね、さすが優等生(笑)。

UA:ただ、今回はコロナ禍に入ってから、歌詞を書き始めたので。私たち、今、カナダの小島に住んでいるんだけど、正直、森の傍の自分の家にいる時は何も変わらないんですよ。日常が。普通に子供を世話して、畑をやってみたいに。でも、どうやらテレビの画面を見ると、ロックダウンだ、ロックダウンだって世界がえらいことになっているって感じで。アストロジーの世界なんかでも時代が200何年かぶりに変わったことがわいわい騒がれていて、最近、スーパームーンだとか、ブルームーンだとか、皆既日食だとか、話題になることがやたら多いじゃないですか。もちろん、昔から話題にはなっていたんだろうけど、みんながそういうことに興味を持ち始めたと言うか、地球が状況的にどんどん悪くなっていく中で、もっと宇宙に意識が向いているのかな。私は風の時代に移行したっていう、その現実……って呼ぶのかわからないけど、そういう時代になったんだよっていうアストロジーの世界のメッセージがすごく気に入っていて。心待ちにしていたんです。

―「地平線 Ma」には“(風の星座である)水瓶座のしぶきを浴びて”という歌詞がありますね。

UA:それが象徴するものとして、今までは所有の時代だったけど、共有の時代になるとか、それは共産主義とか社会主義とかってことではなくて、もっと正しく分けるってことね。平等じゃないから世界はずっと。私は教育とか子供のこととかを一番に考えるんだけど、もっと教育が平等であるべきだと思うし、学びたいと言う子がもっと自由に学べるようにしたらいいじゃんって思っているし。コロナ禍がきっかけでガラガラと価値観が変わって、いろいろな主義に対して、「これでいいの?」って、みんなが問い始めた、そんな時代に私は何を歌いたいかと言ったら、怖がらないで、本当のことを言おうよ、って歌いたいだけと言うか、違和感を見過ごさずに言おうよ、ってことだけだったんですけどね。

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