UAと浅井健一が語る、AJICOが歌う「新世界の夜明け」

「たくさんの人に届く歌をまた歌いたい」(UA)

―浅井さんはUAさんから再始動の話を持ちかけられたとき、どんなふうに思ったのでしょうか?

浅井:楽しそうだなと思って、もういっぺんもっとすごいところまで行ってやろうって感じになったよ。

―AJICOに関しては、楽しい思い出しかなかったわけですね?

浅井:そうだね。楽しいと言うか、いい場面がたくさん思い出としてあるよ。

―浅井さんとしてはこの20年間、AJICOをもう1回やってみたいと考えたことはなかったんですか?

浅井:あぁ、1回ね、UAが2016年だったかな。FUJI ROCK FESTIVALに出たとき、俺もSHERBETSで出てたから(ライブを)観にいったんだよね。で、UAがステージで歌っているとき、UAのだんなさんが赤ちゃんを抱いてさ、楽屋のとこにおったもんで、「アルバムを1枚作ろうよ」って伝えてくださいって頼んだんだけど(笑)、その時はUAのほうから「今はちょっとそういう感じじゃないかな」って断られたかな。そんなことが1回あったね。

―じゃあ、今回、話が来たときは、やろうって即答したわけですね?

浅井:そうだね。久しぶりにやってみたいと思ったかな。

―そういう場合のミュージシャン同士の話し合いって、僕らにはよくわからないんですけど、UAさんはどんなふうに浅井さんに話を持ちかけたんですか?

UA:それがそのー、あんまり憶えてないくらいシンプルだったと思うんですよ(笑)。私の25周年がちょうどAJICOから20年という年に被っていて。2020年がそこに当たるんですけど、25周年に向けてイメージをいろいろ膨らませていたこともあって、「いろいろやりたいことがあるんだよね」って話をしたと思うんですけど、「おめでたいからやろうよ」って(笑)。もう1つ印象的な思い出があって、2019年のツアーを、ベンジーが恵比寿LIQUIDROOMに観にきてくれて。その時のツアーはトリオとコーラスだけっていう私のキャリアの中では、けっこうミニマムのセットで、それを最後まで観てくれて、翌日だったかな。感想をくれた時に、「UAは実験的なことだったり、民族的なことだったり、ジャジーなことだったり、いろいろなアレンジをいろいろな曲でやってるけど、でも、やっぱりかつてのヒット曲みたいなものを、ただシンプルにドーンとやった時のほうがすごく響くよね」って言われて。

―なるほど。

UA:それはタイミングが違ったら、全然素直に受け止められないことでもあるんだけど、その時、私はさっきも言ったように、たくさんの人に届く歌をまた歌いたいと思っていたんですよ。だから、そのツアーもそういう意味での、いったん自分のやりたかったことの締めくくりのツアーだったので、今、振り返ってみると、ベンジーが言ったその感想が、あぁ、何かドンズバだなって改めて思いますね。

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