細美武士とTOSHI-LOWが語る、the LOW-ATUSが体現するフォークの世界

「みかん」の衝撃

―完全に同意します(笑)。さて、アルバムの話ですが、どの曲もすごく好きなんですが……。

TOSHI-LOW:「みかん」は?

―爆笑でした! TOSHI-LOWさんの語りから入るっていう。

TOSHI-LOW:そうだね。演歌の花道(笑)。

―で、サビが“お腹 お腹いたい”ですからね(笑)。5曲~7曲目の「ダンシングクイーン」「みかん」「オーオーオー」の流れはヤバかったです。

細美:ヤバいよね(笑)。

―このアルバムに「みかん」があるかないかで随分違うので、そういう意味ではアルバムのキー曲かなと思います。

細美:先行で「サボテン」を公開したんだけど、俺のラジオ番組では「けっこう真面目な感じなんですね」っていうリアクションがあってさ。



―ロウエイの1stアルバムはどういうテンションでくるのか、すごく気になっていたんです。反戦歌をカバーしてきた経緯もあるので、権力に中指立てるメッセージ性満載の感じなのか、もっとニヒリズムな感じなのか、はたまた笑いの要素が強いのか。どれも出来てしまう二人なので。で、アルバムを聴き進めていくと名曲の連続で、正直不安になって(笑)。けど、「みかん」でやっぱりロウエイだ!って(笑)。

TOSHI-LOW:そうだよね。俺はね、「みかん」のMV撮った方が良かったと思ってたぐらい。

―「みかん」はどのタイミングで作ったんですか?

TOSHI-LOW:だいぶ後だよね?

細美:うん。やっぱり舐められたくねぇなっていうのがあって。二人とも頑張って曲を作ってたんだけど、ある日「もうけっこういい曲多くね?」ってなって、“いい曲禁止”っていう謎のルールが発生して、いい曲じゃない曲を作ろうって頑張った。

―いい曲禁止!(笑)

TOSHI-LOW:普通にカッコいいアルバムじゃんって思って(笑)。俺らっぽくないんじゃない?って。

細美:やばいぞって(笑)。で、TOSHI-LOWが「いい曲禁止」って言い出したんだよ。で、翌日に「みかん」ができた。

TOSHI-LOW:タクシーでスタジオに来る時に、5分ぐらいで作ったんでしょ?(笑)

細美:タクシーの中で鼻歌で作ってスマホに録音して、着いて「できたよ」って渡した曲。なんのオリジナリティもないもんね。

TOSHI-LOW:ないね(笑)。

―(笑)。ラストのサビの“お腹、お腹、お腹……”の連呼と歌唱崩壊(笑)はどういう経緯でああなったのですか?

細美:リフレインのところを録ってる時に、アドリブで思いついちゃったんだよ。「お腹、お腹、お腹」って言った瞬間に、ブースの向こう側の人たちがワッて笑ったの。それを見て、耐えられなくなっちゃってさ(笑)。最後まで頑張って歌おうとしたんだけど歌えなかったんだよね。

TOSHI-LOW:本気で笑いを堪えてる人が笑っちゃうと、またそれがいいんだよね。神テイクだよ。「それでもういいです」ってなって完成(笑)。というより、これぞ完成形だよ。

―この曲、ライブではどうするんですか?

細美:もちろん、ちゃんと歌いますよ。

TOSHI-LOW:絶対に笑わない。

細美:まぁ「みかん」みたいな曲があると「オーオーオー」にパッと繋げられるのもいいんだよね。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE