クイーンからザ・クラッシュまで、ディズニー映画『クルエラ』を彩る音楽を徹底解説

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物語を彩るパンクアンセム

そしていよいよ物語はパンク/ニュー・ウェイブの時代に突入。ブロンディ「One Way Or Another」(どうせ恋だから)は3作目『Parallel Lines』(1978年)からシングル・カットされ、全米24位とスマッシュ・ヒットを記録した。ストレートなロックンロールのようでいて不穏さをはらんだ曲調が、クルエラの屈折したキャラクターとマッチしている。

もうひと組のパンク世代は、ザ・クラッシュ「Should I Stay Or Should I Go」。『Combat Rock』(1982年)に収められていた、ミック・ジョーンズのラフな歌唱が印象に残る、ロカビリーの香りもまぶされた曲だ。最初にリリースされた際は全英17位/全米45位が最高だったが、解散後の1991年にベスト盤『The Singles』が発売される際、CMタイアップ付きで再度シングル・カットして全英No.1を獲得。近年もNetflixのドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』で使用され、根強い人気を感じさせた。



ジョージア・ギブスがコール・ポーターのスタンダードを歌った「I Love Paris」(1953年)や、コメディアンのケン・ドッドが歌ってヒットさせたシャンソンのカバー「Love Is Like A Violin」(私の心はバイオリン:1960年、全英8位)は、狂言回し的に挟まれる感じ。この辺も劇中での使われ方に注目して欲しい。

クルエラの一味に加わったアーティが劇中で歌う「I Wanna Be Your Dog」は、アーティを演じたジョン・マックレア自身の歌唱。ノイジーなギター、ピアノの入れ方など、ストゥージズの原曲を忠実になぞった演奏で、歌い方もイギー・ポップにかなり寄せていて面白い。この選曲は、もちろん“犬”に縁があるクルエラだからこその遊びだろう。

そして2曲目のティナ・ターナー登場。アイク&ティナ・ターナーによるビートルズのカバー、「Come Together」は1969年にシングルとして発売され米R&Bチャート21位に食い込んだ小ヒット。ティナによって誇張された匂い立つようなワイルドさが、映像の世界としっかり合致している。

なお、サウンドトラックの日本盤ラストには、クルエラの日本版声優を務めた柴咲コウが歌う日本語詞バージョンの「Call Me Cruella」を収録。フローレンスの雰囲気を尊重しながら、クルエラ自身が歌っている感覚で聴けるのが面白い。



映像と音楽が抜群の相乗効果を生んでいる『クルエラ』。このサウンドトラックを成立させた陰の功労者にも少し触れておきたい。前述した通り、本作の音楽スーパーバイザーとしてクレジットされているスーザン・ジェイコブスは、映画音楽ファンなら記憶しておいた方がいい重要人物だ。

10代の頃から音楽好きで、敬愛するNRBQを通して音楽の知識を深めたというスーザンは、やがて音楽業界入り。裏方としてアイランド・レコードのクリス・ブラックウェルや、ハル・ウィルナーのもとで働いた。映画音楽の仕事は、スパイク・リー監督の映画『シーズ・ガッタ・ハヴ・イット』(1986年)から携わっていたそうだから、かなりのベテラン。ハルと共に関わったアルバムの中に、プロジェクト進行を務めたディズニー映画音楽のトリビュート盤『Stay Awake』(1988年)があるのも、ディズニーとの縁を感じさせる。

そうした経験を活かして、スーザンはサウンドトラックに使用する音楽の監修という重要な役割を担っていく。ロバート・アルトマン監督『ショート・カッツ』を始め、『バスキア』、『54』、『ルル・オン・ザ・ブリッジ』、『リトル・ミス・サンシャイン』等々……彼女が関わった映画のタイトルを列記するだけで、音楽好きの映画ファンは思わず身を乗り出すだろう。

ジャンルを問わず幅広い音楽の知識を持つスーザンは、クレイグ・ギレスピー監督と相性が良かったようで、『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』と『クルエラ』に続けて起用された。その『アイ,トーニャ~』でトーニャ・ハーディングを演じたマーゴット・ロビーがプロデューサーとして関わった映画、『プロミシング・ヤング・ウーマン』(キャリー・マリガン主演、日本は7月公開予定)の音楽監修もスーザンが務めている。こちらのサウンドトラックも新旧取り混ぜた個性的な内容なので、あわせてチェックしてみて欲しい。




『クルエラ オリジナル・サウンドトラック』(日本版)
デジタルアルバム:好評配信中
CD:6月23日(水)リリース
視聴・購入リンク:https://umj.lnk.to/Cruella

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公式サイト:https://www.disney.co.jp/movie/cruella.html

 
 
 
 

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