FBIは「おとりチャットアプリ」をどのようにして裏社会に浸透させたのか?

United States Department of Justice

ポケベルや、いわゆる飛ばし携帯電話(他人や架空の名義で契約された携帯電話)が組織犯罪に用いられるような時代は遥か昔となった。21世紀の今日、多くの反社会的犯罪組織は、犯罪行為に厳重に暗号化されたデバイスを使用するようになっている。

こういったデバイスは一般市場には出回らず、ブラックマーケットのみで取り扱われ、電話をかけることもネットサーフィンをすることもできないようになっている。このようなデバイスの唯一の役目は、裏社会の同業者たちに、法の目を掻い潜りながら暗号化されたメッセージを送受信することにあるのだ。

しかしFBIは、こうした犯罪者たちに悟られないまま、ここ数年間で何千もの暗号化デバイスを収集してのけた。暗号化されたメッセージを集め、解読することによって、何百万にも及ぶ違法行為に関するチャットを集める国際的な大規模おとり捜査が行われた。

米現地時間2021年6月8日、捜査当局はオペレーション・トロージャン・シールド(トロイの盾作戦)と名付けたこの捜査の実態を公開した。FBIが中心となり、オーストラリア連邦警察、ユーロポール(欧州刑事警察機構)と共同で、17カ国にわたってデバイスの監視を行うというものだ。2019年後半から、これらのデバイスのユーザーたちは、どうやってパイナップルにコカインを隠すかといったことから、輸送船から降ろされた輸出入禁制品を買い取るための料金に関する事柄まで、何もかもをFBIの監視に気づかないまま行なってきた。6月7日に作戦が終了するまでで、多い日では2日間で500人以上の逮捕につながる日もあったようだ。

Translated by Kazuhiro Ouchi

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