ちゃんみな、演劇やサーカス要素を取り込んだストーリー展開で魅せた中野サンプラザ

「Rainy Friday」「I cannot go back to you」が始まる頃、本公演の雰囲気は前半とはまったく異なっている。ステージにはバーカウンターと黒服の男たち。ちゃんみなはカウンターで飲み潰れている。女たちとストリップをしながら男にチップをもらい、淫らに絡み合うが、曲が終わる頃には男たちに捨てられている。転落し孤独になったちゃんみなが過去の栄光にすがるように歌う「Princess」は切なく、「美人」は地獄からの叫びのようだ。そしてラスト、天井から降りてきたフープでエアリアルをしながら「ダリア」を歌い、逆さ吊りにされたまま幕が閉じて、本編は終わった。


photo by 井手康郎

あっという間の本編に、声も出せないオーディエンスは何が起こったかわからないといった様子。ただ空調の音だけが静かに鳴り続ける奇妙な暗闇が数分続いたあと、明かりがつき、幕の中からちゃんみなが再登場。客席から大きな拍手が起きる。

「みんなのことを毎日考えていました。人が来ないことを覚悟していたので、こんなにも多くのお顔を見れて幸せです。ライブがいくつも中止や延期になって、みなさんにはたくさん寂しい思いをさせてしまったけれど、そのぶんすごく気合を入れてライブをつくりました。ルールを守って最後まで見てくれてありがとう」

この日初めてのMCらしいMCに何度も拍手が起きる。

「最後はみんなと楽しみたい。心の中で一緒に歌ってください」とオーディエンスを立たせ、アンコールは「Never Grow Up」と「CHOCOLATE」。さっきまでじっとステージに見入っていたオーディエンスはペンライトを振ったり、その場で踊ったりして、この2曲のあいだだけは、いつものライブと同じような雰囲気が流れていた。

そうしてちゃんみなは「みんなまた会う日まで。愛してます、心から。ありがとう」と言葉を残して退出。こうして昼公演は終わった。

Rolling Stone Japan 編集部

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