米陸軍エリート部隊、上層部がひた隠しにするタブーの正体

キャンプの同行者の詳細は明らかにされていない

フォートブラッグは自主隔離のため軍人たちに基地周辺から出ることを禁じていたが、第82空挺師団に所属していた落下傘部隊員7人が戦没将兵追悼記念日の週末に、南北カロライナ両州の灰色の沿岸に浮かぶ防波島、ルックアウト岬国立海岸へキャンプをしにこっそりと抜け出した。金曜の夜に激しい雷雨があり、翌日の夜7時頃に一人が911に通報した。「友達がいなくなった、どこへ行ったかわからない」とオペレーターに話し、「起きたらいなくなっていた。一日中探して、パークレンジャーかその事務所、誰かに助けを求めようとした」と付け加えた。

後半部分は嘘だったと後に判明した。小さい島は木が少なく、その週末は人で溢れていた。フォートブラッグから来た一行の車が砂丘の保護区域に侵入していたため、移動させるようパークレンジャーが土曜日の昼下がりに指示している。「その時に彼らは一度も行方不明者について話していません」と国立公園局のスポークスマンがABC11に語った。

911に通報した若い軍人は特に裏付けもなくロマン=マルティネスさんに「自殺願望」があったとオペレーターに話したが、姉は強く否定している。フォートブラッグで別の落下傘部隊に所属する親友のクリスチャン・ロメロさん(21)も同意見だ。中学からの友人であるロマン=マルティネスさんが行方不明になっているのをFacebookで知った時、彼はサウジアラビアに派遣されていた。

「失意のどん底に落とされました。彼は僕の人生の支えだったんです」とロメロさんは言う。夜中にスマートフォン、財布、眼鏡を置いてどこかへ行ってしまったと言う6人の説明を彼は信じていない。「エンリケは眼鏡がないと何一つ見えません。彼は景色を見るのも好きで、自然を愛しています。スマホと財布は置いていっても、眼鏡を置いていくのはありえません。絶対に」

キャンプに行っていた落下傘部隊員の一人をロメロさんは知っている。兵舎のパーティーでLSDを使っているのを見たことがあると言う。彼の推測によるとLSDは基地内で最も乱用されている薬物で、尿検査で見つからない(そんな事実はない)と乱用者が思っていることを理由として挙げている。ロメロさんもキャンプに行った一人を含めた複数人から錠剤を買わないかと声をかけられたことがある。「この事件が起きたのも薬物が原因だったかもしれません」と考えるが、追って説明はなかった。友人がLSDを使っていたか質問すると「ええ、まぁ、そうかもしれません」と答えた。

「CIDは被害者が薬物を乱用していた疑いがあることを把握しています」「現在全ての可能性を考慮して操作を進めています」とスポークスマンのグレイ氏は言う。

今年の5月で捜査開始から1年が経過したが、容疑者の特定には至っていない。陸軍の捜査当局は若い女性一人を含むキャンプに同行した軍人たちの名前を含む全ての情報を公開していない。「彼らが誰なのか知りたいと何度も懇願しましたが、ひたすら拒否されました」とグリセルダさんは語る。しかしグレイ氏はプライバシー保護法により名前は公表出来ないと言う。

「弟の遺体の一部が発見された時、彼には目がありませんでした。魚に食べられてしまっていたのです」と話し、泣き始めてしまったグリセルダさんは涙を拭う。「少し前にFBIが海に潜って周辺を探しましたが何も見つけられませんでした。でも弟が殺されたのは5月のことです。どうして12月までかかってしまったのでしょうか?」


(写真)「弟の遺体の一部が発見された時、彼には目がありませんでした。魚に食べられてしまっていたのです」と彼の姉は話す(写真は弟の葬儀と、遺体の一部が発見された海岸にて)死因は他殺と断定された。(Photo by Keith Birmingham/MediaNews Group/Pasadena Star-News/Getty Images; 37th Brigade Engineer Battalion)

Translated by Mika Uchibori

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