米陸軍エリート部隊、上層部がひた隠しにするタブーの正体

グリーンベレー隊員マーク・レシカー(左と、右の写真のタトゥーのある方)はそれぞれの幼い娘が目撃する中、麻薬の効果で激化した口論の末、親友で同じく特殊部隊員のビリー・ラヴィーン(一番右)に射殺された。数年後にはラヴィーンも胸を撃たれて死亡し自分のトラックの荷台で発見された。特殊部隊内で薬物絡みの事件が連続する中、フォートブラッグで麻薬を密売していたとして当時取り調べが行われていた。(Courtesy of Laura Leshikar, 2)



新たな犠牲者

取材のため事件の報告書に載っていた住所に向かうと、クロス・クリークの近くにあるくすんだ色のアパートの1LDKに4人の男女、男性2人女性2人、が住んでいた。カリブ訛りのスペイン語を話す彼らはティモシー・デュマスという名前に聞き覚えはなかったが、一人の女性がハッと顔を上げた。「ここを撃った人だ」と壁に開いた小さな黒い穴を指差しながら言った。

もう1人の女性、ここではエステラさんと呼ぼう、が英語で事の顛末を話した。夜遅くに表でタバコを吸っていると「どこからともなくこの背の高くて坊主頭の黒人の男がドレッドヘアーの細い黒人の男と現れて、タバコを吸うなら裏に行かないと撃つと言われた」

エステラさんは冗談だと思い、無礼さに苛立った。デュマスとドレッドヘアーの仲間は通路を挟んだ反対側の部屋に入り、彼女も自分の部屋に戻った。数分後、幼い名付け子が居間のカーペットの上で踊っている姿をスマートフォンで撮影し始めた。著者も動画を見せてもらうと、腰の高さほどの身長の男の子がテレビから流れて来る音楽に合わせて洗濯カゴの横で踊っている。粉を飛ばしながら石膏板に小さな黒い穴が開く瞬間がはっきりと写っている。トーラス・ミレニアムG2から放たれた9mm弾は男の子から18インチ(約45センチ)外れたところを飛んでいった。

エステラさんははファイエットビル警察を呼び、被害届を出した。それにはデュマスの名前と使った拳銃が記載されていたが、拘留されたかは不明だ。ファイエットビル警察はこの件についての複数回の取材依頼に応じなかった。警察が到着した時に彼がまだ敷地内にいたかエステラさんは知らない。彼女と家族は奥の寝室に隠れた。いずれにせよ、彼が起訴されたという記録はどこにもない。


(写真)フォートブラッグの第82空挺師団に所属していたエンリケ・ロマン=マルティネスは他6人の軍人と共に出かけたキャンプ旅行中に斬首された。(Photo by 37th Brigade Engineer Battalion)

デュマスとラヴィーンの死体が発見された2日後、エンリケ・ロマン=マルティネス特技兵が戦没将兵追悼記念日の週末にノースカロライナ州のビーチへ落下傘部隊の仲間6人とのキャンプ中に行方不明になった事件についての新しい情報が上がって来た。事件から数日後にロマン=マルティネスさんの遺体の一部がシャックルフォード・バンクスに流れ着いたが、それから半年間、手がかりはほとんど見つからなかった。

12月4日に捜査当局はついに検視結果を公表し、何らかの事件に巻き込まれていると断定した。検視官によると、ロマン=マルティネスさんは首を切り落とされていた。頭部しか発見されておらず、複数の切り傷や裂傷に加え、顎と頚椎の骨折が確認された。サメや船のプロペラによるものではない。死因は他殺だ。

ロマン=マルティネスさんは何度もパラシュート降下訓練を受けて来たが、人事管理専門家を担当していた。迷彩服を着ていたが勤務先はオフィスの仕切りに囲まれた机だった。ロサンゼルス郊外にあるチノという町の出身だった。

「うちはいつも貧乏でした」と姉のグリセルダさんは言う。弟は安定した収入と復員軍人援護法のために入隊した。夢は薬学部への進学だった。「マジックマッシュルームについての記事を読み、それだけの合法化を支持し、それ以外の薬物については反対していました。鬱やPTSDなどの心の病を治す鍵だと信じていました」と彼女は話す。

ロマン=マルティネスさんは目が悪く、分厚い眼鏡の下には優しい笑顔があった。最近脚の手術を受けたため、うまく走ることが出来ない。姉は彼を「親切」「スピリチュアル」「フェミニスト」といった言葉で表現する。「彼はヒッピーで、水晶に力があると信じていました」「仏教にも興味を示しており、カトリック教徒である私や母には理解が難しかったです」と彼女は言う。

Translated by Mika Uchibori

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