tricotが語る、両極の持ち味活かした「暴露」「いない」の制作舞台裏

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昨年10月にメジャー2ndアルバム『10』をリリースした4人組ロックバンドtricotが、今年に入って新曲を2曲完成させた。

5月にデジタル配信した「暴露」は、ローファイに加工されたジャケットとタイトルの「物々しさ」とは裏腹の、爽やかなポップチューン。続く新曲「いない」はテレビ東京のドラマ『春の呪い』の主題歌として書き下ろされたもので、こちらは一転して変態的なアレンジと、アグレッシヴなバンド・アンサンブルを全面的にフィーチャーした「tricotらしさ」全開の楽曲に仕上がっている。2021年に入り、自分たちの両極の魅力を提示した彼女たちは今、どんな景色を見ているのだろうか。「暴露」と「いない」の制作エピソードにスポットを当てつつ、4人の「現在地」を探ってみた。

─先月配信した「暴露」から続けての新曲リリースとなりますが、まず「暴露」はどのような経緯で制作されたのでしょうか。

中嶋イッキュウ(Vo, Gt):私たちは今年2月に『サイレントショー秘蜜』という有観客無配信ライブを、東京と大阪で開催したんです。ドレスコードあり、拍手禁止、ライブで起こったことは全て秘密、お客さんも私たちも無言で参加するという実験的な試みで、会場では私が作ったティザームービーを無音で流してたんですね。で、2月27日のEX THEATER ROPPONGIでは、そのムービーの中で東京・USEN STUDIO COASTでの振替公演についての告知をしたんですけど、4月16日の大阪なんばHatchで告知することが何もなくて。

「それでも何か発表したい」と私が言いはじめ(笑)、だったら5月に出す新曲を、先にタイトルを決めてしまってそのタイミングで告知するのはどうか? という話になったんです。その時はまだ曲も出来てなかったんですけど、「『秘蜜』で新曲を告知するんだから『暴露』やな、じゃあタイトルも『暴露』でええやん」ってなって(笑)。





─タイトルにはそんな由来があったんですね(笑)。

イッキュウ:そこからデモを3曲作って、どれが採用されるか分からないまま、全て「暴露」をテーマに歌詞を書いていきました。その中で生き残った「暴露」が、今回リリースされるヴァージョンです。


中嶋イッキュウ

─なるほど。物々しいタイトルにしては意外と清々しい歌詞だなと思ったのですが、どんな気持ちを込めましたか?

イッキュウ:「誰かの秘密を暴露する」とかそういう意味ではなくて。「自分自身を全て暴露、曝け出したとしても恥ずかしくない状態で立っていたい」という意味なんですよ。「暴露」という言葉の強い響きや、怖いジャケット写真とは裏腹の、どちらかというと清々しい気持ちを歌っています。そのとき候補に上がっていた3曲とも、そういう気持ちで書いていましたね。

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