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―アフリカ・エクスプレスにもトニーは度々参加していましたが……。
デーモン:うん。計り知れない貢献をしてくれたよ。
―あのプロジェクトを通じて、欧米社会におけるアフリカの音楽への理解や認識について、どんなことを学びましたか?
デーモン:そうだな、昔は本当にひどかったから、もちろん理解は進んでいて状況は改善されつつあるけど、アフリカの音楽はものすごく長い間“ワールドミュージック”と括られてきた。この枠そのものが、大きな問題を孕んでいたと思うよ。僕は昔から、欧米圏外の音楽から学ぶべきことは限りなくたくさんあると感じていたし、自分が属するカルチャーの音楽から学べることってそんな多くないと思うんだ。それは、欧米の音楽に価値がないという意味じゃない。異文化のヴァイブレーションに周波数を合わせた時にこそ、自分が何者なのか、より大局的に捉えることができるんだよ。僕らはひとりひとりが独立した個人で、それぞれが己の人間性を定めるのだという考えは間違っている。みんな、この地球上に張り巡らされた巨大な有機体の一部分を形成していて、誰もがお互いに依存して生きている。お互いを尊重し、お互いの考えに耳を傾けなければいけないんだよ。
―ところで、数年前にとある雑誌の記事でトニーは、“お気に入りのデーモン・アルバーンの曲”として、ゴリラズの「On Melancholy Hill」とロケット・ジュース~の「Poison」を選んでいました。つまりあなた特有の、悲しみや憂いを含んだ美しいメロディに惹かれていたことを意味していますよね。
デーモン:うんうん、僕もそれなりにトニーに評価してもらえていたのさ(笑)。だからこそコラボしてきたわけだし、彼とプレイすることで本当に多くを学んだよ。ザ・グッド~とロケット・ジュース~では、トニーのやり方に自分を順応させる必要があった。絶対に自分のビートを変えないから、彼のビートに合わせて曲を作って、プレイしなくちゃいけなかったんだよ。でもそれって素晴らしいことだし、常に何かしらチャレンジを突きつけられた。たまにトニーのドラムを録音してループし、それを練習に使ったりもしたっけ。彼がドラムで伝えようとしていることにちゃんと耳を傾けて、心を寄り添わせてプレイするのは容易じゃない。ハイハット、スネア、バスドラム、それぞれのパターンが、トニーのオーケストラの中で担っている役割を識別しないといけない。マジな話、彼のドラムを聴いているだけで、どんどん曲が生まれるんだよ。終わりがないんだ。無限の可能性がある。それがトニーの神髄だと思う。トニー・アレンとは無限かつ不滅の可能性、だね。それがつまり「Cosmosis」の意味なんだよ。
【関連記事】追悼トニー・アレン、アフロビート・ドラミングを生み出した男
ロケット・ジュース~「Poison」を一緒に演奏するトニー・アレンとデーモン
トニー・アレン
『There Is No End』
2021年6月2日発売
視聴・購入:https://tony-allen.lnk.to/ThereIsNoEndRECOMMENDEDおすすめの記事
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