『ストップ・メイキング・センス』製作秘話 トーキング・ヘッズ傑作ライブ映画を振り返る

観客の姿がほとんど映らない理由

―ジョナサン・デミからの演出は多かったですか?

クリス:いいや、彼は俺たちの演奏をきっちりフィルムに収めただけ。唯一の演出はプロデューサーのゲイリー・ゴーツマンから出されたよ。ゲイリーは「カメラをみるな。あと、お願いだから鼻はほじらないでくれ」と言った。俺たちへの演出はその程度だったね(笑)。

―観客が映っているシーンが最初と最後しかない理由は?

クリス:あの映画は会場でライブを観ている観客の目線で編集していて、会場のベストシートで観ている気分になってもらおうと思ったわけだ。だから、会場で一番の席から観客が見えたらおかしいよね。俺たち自身がコンサートに行ったときに「こんなふうに観たい」という映し方だったよ。

―公開されたとき、観客が上映館の通路で踊っていたという話を聞いて驚きましたか?

クリス:実はその光景を自分でも見ていて、そのときは「うわー、これってクールじゃないか」って思ったよ。そんな光景は一度も見たことがなかったし、あれ以降も一度もない(笑)。まあ、『ロッキー・ホラー・ショー』で踊る人はいるけど、あれは観客参加型の映画だから『ストップ・メイキング・センス』とは違うジャンルだろう。


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―あのツアーでトム・トム・クラブのコーナーはレギュラーだったのですか?

クリス:うん、「Genius of Love」があの頃大ヒットしていたから。トム・トム・クラブが演奏している間にデイヴィッドは例の大きなスーツに着替えていたんだ。

―あそこであなたはマイクを使いますよね?

クリス:うん。ただね、もう少し控えめな掛け声の方がよかったと思う。とは言え、俺もかなり興奮していたから、どうしようもないよね。

Translated by Miki Nakayama

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