TK from 凛として時雨、壮大な曲の世界観が会場と溶け合った一夜

「この会場はものすごく好きな会場で、きっと素晴らしい音に包みこまれていると想像しながら、最後まで楽しみたいと思います」というMCに続いて、中盤では昨年リリースされたアルバム『彩脳』からの楽曲を披露。ちゃんMARI(ゲスの極み乙女。)とのコラボレーションによる切なくも温かいメロディーが、TKの新たな魅力を感じさせる「インフィクション」の一方、「彩脳 -TK Side-」や「凡脳」はTKらしい切迫感を伴う曲展開に引き込まれ、美しさと狂気を内包するヴァイオリンが曲のドラマ性をさらに高めて行く。

そして、この日最初のハイライトとなったのが、又吉直樹が作詞の監修で参加した「copy light」。ピアノ、ヴァイオリン、ベース、ドラムがTKに寄り添うように徐々に加わっていく展開も印象的だが、この曲は何よりTKの痛切な歌の表情が素晴らしい。また、スケール感のある曲調がホールとの相性の良さを感じさせ、TKの言葉通りの「音に包みこまれている」ような感覚が大きな感動を呼んだ。ラストはピアノの性急なリフレインがヒプノティックな快感を誘う「Shandy」を演奏し、本編を締め括った。


Photo by 岡田貴之

アンコールでは「毎回寿命が縮まる思いでライブをやらせていただいています。みなさんが一瞬でも今日来てよかったと思ってくれることを願いながら、もう少々お付き合いいただいてもいいでしょうか?」と呼びかけて、最新曲「yesworld」を披露。歌詞とカレイドスコープのような模様をフィーチャーしたサイケな映像とともに演奏されたこの曲は、自分の力だけではどうにもならない現実に対して、絶望の中から光を見出そうとする一曲。それは混迷を極める現代に対してのメッセージのようでもあり、TKのライブに対する真摯なスタンスをそのまま表しているかのようで、新たな代表曲の誕生を感じさせた。

文責:金子厚武



<ライブ情報>

「TK from 凛として時雨 TOUR 2021 “yesworld”」

大阪振替公演
2021年7月5日(月) 大阪・なんばHatch
時間:Open 17:45 / Start 18:30 (変更なし)
※チケット再販日:6月19日(土)
URL:https://www.shimizuonsen.com/schedule/detail/2816/

Official Site:http://www.sigure.jp/

Rolling Stone Japan 編集部

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