仮想通貨ビジネスにも参入 セレブラッパーの先駆け、リル・ヨッティの第二幕

リル・ヨッティ(2021年3月24日撮影)(Photo by Braylen Dion for Rolling Stone)

若くしてラッパーとして成功を収め、「キング・オブ・ティーンズ」と呼ばれる一方で、大勢からの批判に晒されてきたリル・ヨッティ。業界の実力者にして若手の指南役となった現在、彼は何を思うのか。

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パンデミックが始まるまで、リル・ヨッティは自分がいかに短期間のうちに名声を手にしかを常に意識していた。「高校のステージに立った1年後には、俺はここアトランタのミッドタウンにあるペントハウスに住み、Gワゴンを乗り回し、母さんが住む家を用意した」。ヨッティはそう話す。「何もかもが目まぐるしく変わって、いつも時間に追われてるよ」

子守唄のようなムードを漂わせる2016年作「Minnesota」でブレイクを果たしたヨッティは、17歳にして「キング・オブ・ティーンズ」の異名を持つこととなった。しかしその後、彼は若きスーパースターたちの指南役として、Z世代におけるディディのような存在へと変化していく。NauticaやTargetといったブランドとのコラボレーション、映画『How High 2』への出演、スプライトとのスポンサー契約などで、彼は絶えずメディアを賑わせてきた。自身のレーベルConcrete Boysも運営し、契約アーティストにはダイヤを散りばめたネックレスが贈られる。

間もなく発表されるヨッティのミックステープ『Michigan Boy Boat』は、若きMCたちが台頭する現在のヒップホップのシーンへのオマージュだ。それは同時に、23歳のラッパーの最大の武器のひとつである「才能を嗅ぎ分ける能力」のショーケースでもある。「眠っている才能を掘り起こしたいんだ」。ヨッティはそう話す。「ミシガンにはお粗末なラッパーは1人もいないんだよ。誰もがラップのいろはを心得てる」。ヨッティのリリックは幾度となくこき下ろされてきたが(純粋主義者たちは早い段階から彼への嫌悪感をあらわにしていた)、ミシガン屈指のMCたちとの掛け合いが繰り広げられる「Royal Rumble」等のトラックを聴けば、彼が成長を遂げたことは明白だ。ワードプレイはパンチ力を増し、皮肉はよりウィットに富んでいる。彼が放つ言葉は、スマートなラインが求められる現在のシーンに完璧にフィットし、『ザ・グラッジ 死霊の棲む屋敷』にちなんだダジャレは知性さえ感じさせる。





Translated by Masaaki Yoshida

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