「ゾンビランドサガ リベンジ」の音楽はなぜユニークなのか? 制作者が裏側を語る

「ゾンビランドサガ リベンジ」EDより(©ゾンビランドサガ リベンジ製作委員会)



「ゾンビランドサガ」チームの現場

ー屋根の上で歌うのは最初から決まってたんですか?

佐藤:屋根でアコギっていうイメージはもともと言われてて、さきほども言ったように制作陣は世代も近いので、ああ、『時間ですよ』の浅田美代子さんですね、みたいな。だからどうしたって話でもないんですけど(笑)、コンテをいただく前からそういう話はしてましたね。

ーでもやっぱりアニメと合わせて聴くと、より感慨深いですね。

佐藤:そうですねえ。

山下:グッときましたよね。

佐藤:普通にいい曲だなって、しみじみと。ゾンビランドサガ関係なくこれを流したら、みんなどういう気持ちになるんだろうなって。こういう歌手がデビューしたんだ、くらいには捉えられるかなと思いますよ。






「ゾンビランドサガ リベンジ」第3話より(©ゾンビランドサガ リベンジ製作委員会)

ー質問の方向性を変えますが、山下さんが作家としてこのゾンビランドサガに関わって、他の仕事より面白いなって思う部分ってどういうところなんですか?

山下:自分がこのキャリアをスタートした20年ぐらい前と近年とで比べた時に、当然ながらいろんなことが変化してきたなと思うんですけど、その中でも作り手としてすごく大きな変化に感じるのが、リスナーの方々がすごくポジティブにアニメ音楽を聴くようになったなって感じていて。素直にいい曲だ、素敵だって言ってくださるケースが、20年前と比べたら圧倒的に増えたなって印象があって。それは当然我々に限らず日本中の作り手の方たちが、あの手この手でいろんなことを頑張ってきている成果の一つの表れだとも思うんですけど。もしかしたらアニメの音楽っていうのは、いろんな試みがされてきて、一定の成熟期に入ったのかなとも思うんです。っていう大前提でこのゾンビランドサガという作品を見た時に、誤解を恐れず言うと、何をやっても受け入れてくれる感じがすごくある作品だなと。企画段階で、こんなことやっちゃおう、あんなことやっちゃおうぜって振り切った提案から始まって、ゾンビランドサガを見てくださってる方々も、それをすごくポジティブに楽しんでくださってるなって。いつも褒めてもらって嬉しいなって作品ですね(笑)。

今福:なるほど大きい視点ですね。もしかしたら、そういった受容性はゾンビランドサガ固有の要素から来ている部分もあるかもしれないと思ったりすることがあります。この作品においては、一人だけチェキ会に参加しないアイドルや歌わないアイドルがいて、それを周りも受け入れているといったシーンに象徴されるように「多様性を許容する」という要素が確かに描かれていたと思うのです。だからこそ、この作品を応援してくださる方々は、同様のマインドを内包していらっしゃるといったマッチングもあるのかなと。これは余談かつ個人的な意見なのですが、ちょうど前作の放送翌年に、多様性を尊重するような芸風の芸人さん等がブレイクしていたりするのを見て、今振り返ると、放送していた頃くらいから世の中的にそういう空気感が存在していて、それに後押しされた部分もあるかと思ったりすることもあります。

山下:そもそもこの作品自体、幸太郎がいろいろ振り回すっていう(笑)。

今福:あとは、音楽コンテンツにしても、感想やコメントをオープンかつカジュアルに発信できる場が年々増えていて、ネガティブだけではなくポジティブな意見を認知しやすい環境が整ってきているので、第三者のポジティブな意見にシンクロしやすくなってきている部分もある気がします。

山下:もしかしたら10〜20年前の方々はいろんな批判に屈さず、何くそという気持ちで作ってらっしゃったかもしれないし、俺が言ってることが必ずしも正しいわけじゃないんですけど、だからこそ次に大切なのは、何やっても褒めてもらえるってところにあぐらをかかないことかなって。もし仮に第三期があるのなら、あぐらをかかずに更なる挑戦をしなきゃいけないよなって思います。

佐藤:ちょっと話が戻るけど、20年前から比べると昨今は、言葉を選ばずに言うと、音楽レーベルとアニメレーベルの人たちが仲良いなって感じもしますよね。僕もこの業界に20数年いるんですけど、当時はこんなに仲良くなかったよなって印象がある。この業界に入った当初から、アニメーションの仕事もポップスの仕事も、それこそCMの仕事も全部並行してやっていたので、それをすごく感じますね。昔、例えば音楽レーベルの方に、アニメのレーベルからこういう話があるんだけど、このアーティストさんに歌ってもらえないか、って話をしたとき、なんでアニメの歌なんか歌わなきゃいけないんだ、みたいな話もあったみたいだし。それが今は、相互仲良くアニメーションありきのプロモーションをしたり、アーティスト側も、その作品で歌いたい!ってなったり。だから作り手側の環境もすごくいい状況になってるのかなとは思います。

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