DIR EN GREYが語る、今しかない表現方法と面白さ

「朧」に詰め込んだこだわり

ーToshiyaさんが言っていた“悪ふざけな奇抜なアイデア”も、いつの間にかに普通に飲みこまれる。表現ってその戦いだとは思うんですが、ネット時代の今、その飲み込まれるスピードが加速しています。なので、たとえ飲み込まれても“俺はこんなもんじゃない”と自覚して戦い続けることが大事なんだと思っています。

薫:まさに俺はそれだけでやってますもん。自分にセンスがあるとか絶対思ってないんで。曲なんかできないのに、本当負けん気だけでやってるみたいな感じです。

ー凡庸なものに取り込まれたくないというか、今までにないものでやりたいと?

薫:やりたいし、けど、時間もかかるし。ギミックの話でいえば、「朧」は曲の中にいっぱい仕掛けてあります。

ーどういうギミックがあるか、いくつか教えてください。

薫:言ったら面白くないです(笑)。聴こえてない音がいっぱいあります。感じてもらう音がいっぱい入ってます。それを感じてもらえたらいいなと思って仕上げました。そして次のアルバムはそういうのをいっぱいぶち込んでいこうかなって思っています。

ーライブに関して、ひとつ聞いておきたいことがあって。今って価値観のぶつかり合いの状態だと思うんです。ライブをやるにしても、ファンの中でも“こんな時にライブやらないで”という価値観と“こんな時でもライブをやってくれてありがとう”という価値観が衝突してしまいます。

薫:難しいですよね。どちらの価値観も間違ってはいないので。ただ、バンドとしては歩みを止めることはしないです。なので、条件が許せばライブはやっていきます。だから「あ、こんな時にライブするんだ。この人達の見方変わったわ」って言う人達いっぱいいると思うんですよ。まぁそれは他のバンドでも起きていると思いますが。

ーそうですよね。どのバンドにも、ライブやって派とやめてくれ派がいますが、どう折り合いをつければいいのか……。

薫:そこはしばらく戻んないじゃないんですかね。誰かが「はい! 何でもなかったですよ!」って言ってくれれば、変わるかもしれないですけど、そんなのないじゃないですか? 要は感染者数が落ち着いて来ない限り難しいと思います。だって、感染者数が減った台湾はフェスですらやってますからね。

Toshiya:今ってどっちつかずのやり方を、我々も選んでるわけなんですけど、それを政府がやってるから微妙なんじゃないですか?って俺はそう思ってるんです。人々は何によって動かされているかと言えば、それは薫さんが言ったみたいに感染者の数字だと思うんですよ。その数字を減らすには単純に痛手を負うしかないのかもしれない。イギリスみたいにハードなロックダウンしますってなったら、経済的にものすごいダメージを受けます。それこそ、全ての人が路頭に迷うことになりかねないと思うんですよね。でも、極端ですがそれぐらいの強い意志を持たない限りは、このままやんわりやってて、また数字が下がりました、「お、ちょっと数字が下がったから大丈夫でしょ」って必ずなって、そしたらまたきっと増えるんじゃないかな? その繰り返し。ってなると、どっかで区切りつけないと、もしかしたらずっと繰り返していくことになるのかなっていう不安があります。

薫:東京は今3度目の緊急事態宣言下なんですけど、ロックダウンも突然やるのはやめてほしいですね。もうちょっと助走期間がないと本当に大変です。

Toshiya:今回の緊急事態宣言に関しても、やるぞって言うのには従いますよ、従うしかないんで。でもやるからには、何か希望になるようなものがほしいですよね。いきなり時間を取られちゃったみたいな感じがしています。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE