DIR EN GREYが語る、今しかない表現方法と面白さ

自分たちで「タイミング」を作る

ー制作の時間が無制限にあったことに関して、Toshiyaさんは?

Toshiya:ありがたいことだと思います。ただ、あればあるだけ使いたくもなるし、だらけてしまう部分もあるので良いところもあれば悪いところもある気がしますね。それが正直なところです。

ー今回のレコーディングで良いところで言うと? 新しいことを試せたとかありますか?

Toshiya:結局最後は時間に追われはするんです(笑)。でも、今回はちょっと心に余裕がある感じがしました。その分、色々と考えちゃったんですよ。じゃあこれリリースして聴いてもらえるのかなとか、下世話ですけど数字的なものを考えだしちゃうとこのタイミングで出すことが良いのか悪いのかぐらいなところまで考えてしまいましたね。もうちょっとコロナ禍が落ち着いた時の方がいいのかなとか。じゃあそのタイミングを待つにしても、いつそのタイミングが来るんだろうって考えたら、考えてもしょうがないなってやっぱり思ったんです。タイミング来ないなら、タイミングを作れば良いじゃんって思って。悩んでいるよりも、こういう曲が出来上がって良い感じになってるんだったら、出すべきなんじゃないかなって思いました。


Toshiya

ータイミングを作っていくって確かに大事ですよね。

Toshiya:今世界中の人達が我慢というか、ずっと待ってるわけじゃないですか。でも、個人的には、待っていても元には戻んないと思うんです。だったら、この状況下でどういう風にやっていくかを考えていく方が建設的だと思うんです。そういうところに個人的には行き着いたというか、行き着こうとしてます。

ーお話を聞いていてサミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』という戯曲を思い出しました。主人公の2人は、ゴドーさんを待っているのですが、実はゴドーさんが誰かも知らないし、ゴドーさんが実在するかもわからないんです。でも、来ると信じて待っているんです。

Toshiya:今って自分も含めて誰もが待っています。でもそれって一体何を待ってるんだ?って考えたら、「あの頃」を待ってるだけでしょ?って。でも正直俺は戻んないなって思ってるんで。もう変わってしまったんだなと思っているから。ならばそこに向かって動いていく。もう待つのは止めて、ちょっと怖いけど一歩踏み出さなきゃいけないのかなと思ってますけど。

薫:俺も同感ですね。

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