斉藤和義が語る、年齢を重ねながら紡ぐ「音楽」とコロナ後の「希望」

そんな時に出会ったリリー・フランキーの生き方にも、斉藤は大きな感銘を受けたと語る。

「たまたまお仕事を一緒にする機会があったんです。リリーさんの看板番組がスタートし、その初回にゲストで呼んでもらって。リリーさんのことは前から好きだったのもあったし、リリーさんも僕の楽曲を聴いてくれていたみたいで、初めて会ったその日のうちに飲みに行って朝帰りしました(笑)。しばらく週3くらいの割合で飲みに出歩いていましたね。リリーさんって、俳優やイラストレーター、ミュージシャンなど様々な肩書きを持っているじゃないですか。『俺はこれ』と決めたくない人なんですよね。僕自身は音楽以外やるつもりはないので、その正反対なスタンスが一緒にいて面白くて。『こういう見方、考え方もあるんだな』みたいな気づきをたくさん与えてくれる存在です。ウイスキーとかめちゃめちゃ詳しいんですよ。僕はアルコールなんて酔えれば何だって構わないというタイプの人間だったのですが(笑)、なるほど確かに同じウイスキーでも味や色、全然違うんだなみたいなことも、リリーさんに教えてもらいました」

そう言って笑いながらタバコに火をつけた。ここ10年くらいはアメリカンスピリットを嗜んでいるという。

「とにかく味が好きなんですよね。食後の一服が楽しみでご飯を食べていると言ってもいいくらい(笑)。起きたらとりあえずタバコを吸って、コーヒーを飲むのが日課になっています」


Photo = Mitsuru Nishimura

 そんな斉藤が現在夢中になっているのはDIY。コロナ禍の自粛期間中はギターを何本も自作していたという。今作『55 STONES』に収録された「2020 DIARY」の歌詞には、“僕はずっとガレージで ギターを作ってた”という一節もあった。

「木を削り出して、そこにピックアップを搭載して。ネックだけは流石に自分で作るのは難しかったので、市販の物を使いましたけどね。ピックガードはアルミで作ってみようと思って、ひたすらヤスリで磨いていました(笑)。そういう意味では、自粛期間も充実していたのかも知れない。もちろん、楽器屋さんに並んでいるギターの方がいい音がするのだけど、自分で作った『世界でたった一つのギター』は愛着が湧いてくるんです。自分で好きな形にできるし、ペイントなんかも躊躇なくできるし。早速レコーディングでも使ってみました。『純風』という曲で聴けますよ」

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