大久保伸隆が語る、辛さを抱えた人に寄り添う新作アルバム

ーこういう時代だからこそ感じられた、大切な時間の概念がタイトルになったんですね。アルバム収録曲は、アコギとピアノのサウンドが際立ってストリングスの柔らかさが加わった楽曲たちですね。こういったサウンドは目指してきたものなんですか?

ソロになってからは特に意識していないんですけど、バンドでやっていた頃はアコースティックサウンドを意識していたので、今作でも無意識に出ていた部分かもしれないですね。曲をアレンジしていくときに、フラットな状態で作品が良い形で昇華できるようなものを意識したら、結果的にアコースティックサウンドやバンドサウンドになって。それでいいんじゃないかな、と思える形で作ったんです。

ーSomething ELse時代を含め、これまで培ってきたものが今作にも表れているのでしょうか?

ソロになってからワンマンライブでやったことや発見していったものを今作に落とし込んだ感じですね。バンドの時はコーラスワークを大事にしてきたんです。ソロになった後はコーラスワークはバンドの時のものとして切り替えていたのですが、今ライブに遊びにきてくれているお客さんはバンド時代に応援してくれた方も多いので、三声のコーラスは今作でも入れていて。皆が喜んでくれるものを意識した感覚はあります。

ー収録曲の話も伺いたいのですが、「恋の速度」は恋にスピード感、速度があるという概念を考えたことはなくて新鮮に感じました。重松清さんとの交流もあられたりと、そういう文学性も大久保さんは意識されているんでしょうか?

重松さんは、世界観や柔らかさが好きでよく読んでいるんです。どうだろう、読んだ作品を消化して自分の色として出せるようにとかは特に意識してないですね。「恋の速度」の歌詞は、実は共作なんですよ。元メンバーの今井君が元々書いていた歌詞に僕が書き加えたという経緯があって。自分のソロ名義でちょっと新しい形にして披露したいと思って、彼に連絡をとって共作になっているんです。

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