アルファレコードが求めた精神の自由 村井邦彦と共に振り返る

村井邦彦


(インタビュー)

村井:反権力というのは広い意味であって、特定の権力ということに対することではないんですね。川添浩史さんは、人間というのは何者からも自由であるべきだ、という考え方を持っていたんです。とは言うものの、国家権力など必要とされる権力があるわけで。今コロナ禍になって、フランスは夜7時以降は外出禁止ですが、これは権力によって自由が制限されている例ですね。こういうことがあるわけですけども、川添浩史さんは、自由であるためにはある力を持たないといけないと。その力と言うのは、自分が美しいということ。美を力として自由を作っていくんだと言っているわけですね。ヒトラーとかスターリンというような独裁者は、音楽まで口出ししてきますよね。ヒトラーの場合は、退廃音楽と言ってジャズとか抽象音楽をいじめてやれないようにしたわけですね。スターリンも革命を鼓舞するようなわかりやすい音楽じゃないと認めないんだよね、それでショスタコーヴィチという人は自分を表現するために苦労するわけですよ。そういう経験から出てきたアンチ権力というのが、川添浩史さんの考えだった。それが僕にとってとても魅力があったんです。

田家:アルファミュージックというのはそういうことと全く切り離された形でイメージを持たれているなと思ったりしたんです。

村井:僕たちは、イデオロギーはあまり関係ないんですよ。でも、先ほど話した人間は何者からも自由である。特に芸術音楽に携わる人は何者からも自由であるべきというスタンスはとっていましたね。

Rolling Stone Japan 編集部

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