大滝詠一『NIAGARA MOON』のニューオーリンズ解釈 鳥居直道が徹底考察

『NIAGARA MOON』はとっても楽しいアルバムです。それまでの大滝作品にあったウェッティなところがありません。初めて聴いたときの自分には、楽しくてかつドライなアルバムを受け入れるだけの素養がなかったのではと思いました。

他には、『NIAGARA MOON』のテーマのひとつであるニューオーリンズの音楽への親しみがなかったという理由が挙げられます。より厳密に言うのなら大滝流のニューオーリンズ解釈。リズムがやっぱり複雑です。ややオールドファッションなオリジナル曲に大胆なアレンジを施すとアイディアは、『NIAGARA MOON』で取り組まれていたのは、例えが適切かどうかわかりませんが、ディーヴォがローリング・ストーンズの「(I Can’t Get No)Satisfaction」を換骨奪胎するようなリズムアレンジでカバーするのに近いといえば近い。



もし仮にタイムスリップして、『NIAGARA MOON』にピンと来ていない当時の自分に声をかけるとしたらどんなことを言おうか、さらにはニューオーリンズの音楽をどのようにプレゼンするのかを考えてみました。結論として次のように声をかけることにしました。

おまえさん、ドクター・フィールグッドが好きだろ? 1stの「The More I Give」が好きだろ? あれってニューオーリンズ・ファンクをフィールグッド風に解釈した曲なんだよね。その一点を拡大解釈して『NIAGARA MOON』をパブロックのアルバムだと思い込んで聴いてみるのはいかがか。

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