ドミコ、四方を観客で囲んだフロアライブで見せた360°のロックンロール

アンコールで再登場した長谷川は「こうなってる(=客席が360°で作られてる)と、落ち着かないですね(笑)……どうもありがとうございます」と言った。そしてまず唄われたのは「ヘイ・ヘイ、マイ・マイ」だった。今までも演奏されてきたニール・ヤングの曲で、ひかるが唄う<ロックンロールはここにある>というフレーズは毎回心に迫るが、この時、その破壊力はことさらに強く感じた。世の中にロック・バンドはたくさんいるし、ロックへの、音楽への情熱を語るミュージシャンは無数にいる。しかしロックに対して格別どうこう語ることがないドミコがここまで圧倒的なライブをやって、その中でこの言葉をサラッと唄うことがものすごくパンクだと思ったのだ。いや、僕自身、ドミコがロックンロールだとも、あるいはパンクだとも、断定しようなんて気は全然ないのだが。

ライブは「こんなのおかしくない?」で幕を降ろした。頭を下げ、客の間を縫って去っていく2人。つい笑顔になってしまう。快感。ア然、ボー然。今やドミコのライブは生き物。そしてドミコというバンドは化け物になりつつある。そう感じた1時間強だった。


Photo by 西槇太一

なお、彼らはこの数時間後に第二部を敢行し、そこではまったく異なるセットリストと構成でのライブを行っている。それに加えて、今回は照明、音響を含めた演出全般のスタッフの総合力が高いライブだったことも強調しておきたい。この数年、ドミコのパフォーマンス力が向上しているのは明らかだが、それに伴ってスタッフワークも素晴らしいものになっている。そんなドミコの至福の音世界は、7月に予定されている東名阪を廻るツアーでも体験できるはずである。

Written by 青木 優



<公演情報>

ドミコ
「Floor Live 『360°』」

2021年5月1日(土) yokohama Bay Hall
[part1] OPEN 15:00 / START 15:30
1. まどろまない
2. びりびりしびれる
3. 噛むほど苦い
4. 問題発生です
5. マカロニグラタン
6. My Body is Dead
7. なんていうか
8. くじらの巣
9. ロースト・ビーチ・ベイベー
10. WHAT’S UP SUMMER
11. おばけ
12. 化けよ
13. ペーパーロールスター
EN1. 深海旅行にて
EN2. こんなのおかしくない?

[part2] OPEN 18:30 / START 19:00
1. united pancake
2. ペーパーロールスター
3. なんていうか
4. 地球外生命体みたいなのに乗って
5. 噛むほど苦い
6. 問題発生です
7. くじらの巣
8. ロースト・ビーチ・ベイベー
9. さなぎのそと
10. おばけ
11. 化けよ
12. びりびりしびれる
13. まどろまない
EN1. WHAT’S UP SUMMER
EN2. こんなのおかしくない?

<ライブ情報>

ドミコ
「猿犬蛙馬周遊Tour」

2021年7月15日(木)名古屋BOTTOM LINE OPEN 18:15 / START 19:00
2021年7月16日(金)大阪BIG CAT OPEN 18:15 / START 19:00
2021年7月21日(水)渋谷TSUTAYA O-EAST OPEN 18:00 / START 19:00

Rolling Stone Japan 編集部

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