[Alexandros]が語る、狂気の渇望とドロスがバンドである理由

リアドから見た[Alexandros]というバンドの実像

―リアドさんは[Alexandros]というバンドをどう捉えていて、今後何を期待しますか?

リアド:このバンドに入って最初にドラムを叩かせてもらった時に驚いたのが、ライブでクリックを聴かないで演奏する曲が多いことなんです。クリック云々の話だけではなく、基本的に気持ち重視で、演奏がすごい流動的で、その時々で正解があって、それを厳しく追い求めているんですよね。毎回演奏が違うんだけど、それはなあなあに違うんじゃなくて、ちゃんと毎回正解があるんです。そこをみんなで追い求めていたのが、すごく印象に残っています。そういう風にやっているバンドって今少ないと思うんですよね。でも逆にこのバンドのそういう部分が自分にはすごく魅力的に映って、難しいですけど、やってて楽しいです。

―クリックを使った方が演奏は安定する気がするのですが、なぜ使わないのですか?

川上:なぜクリックを使わない方がいいかって言うと、楽しいから。じゃあなぜ楽しいかって言うと、正解がないから。リズムでいうとドラムのリアドが正解なのかって言うとそうじゃないんですよ。メンバーの中にそれぞれあるリズム感っていうのがあって。Aメロはこのテンポでいって、Bメロでちょっと落ち着いてサビでドーンみたいのは、クリックに合わせるとできないんですよね。別にやろうと思えばできるんですけど、遅くなったり、若干速くなったりする美しさを知ってるんで。感情だって同じです。怒ったらワーッてなるけど、落ち着いたら自然とリラックスする。曲もプレイヤーの自然な感情やテンポに合わせたほうがより有機的になるので。そこを機械的なものに合わせに行くと、大事な自分のリズム感を出す気持ち良さ、楽しさが半減するんですよね。しかも自分の中のリズムと、他人であるメンバーと合った時の気持ち良さがものすごくあって。さらにそれがお客さんに伝わった時の気持ち良さもある。これめっちゃ生のオーガニックなことだと思うんです。感情だけで繋がっているし、音を楽しめてるってことだから。



磯部:バンドの楽しみってまさにそこなんですよね。そもそもなんで俺がバンドに感動を覚えたかって言うと、バンド経験のない俺が[Champagne]に加入して、小さいスタジオで自分達の機材でもないけど、バーンって音を出した時に、ウォー!ってなったからなんです。それがバンドだと思うから。バンドが全てだとは思わないけど、なんでこのメンバーでバンドやってんの?って言えば、それが楽しいから、気持ちいいからで。ライブでは映像とか色々あるから、クリックを使うことはあるけど、でもクリックがないとできないなら、もう俺はバンドやってる意味ないと思います。

川上:だからめちゃめちゃリズム感って大事だと思ってるんですよ。ヴォーカリストは特に。僕はバンドのリズムって、ドラムが作ってると思ってなくて。ヴォーカルというか、曲を作ったやつが作ってると思ってる。だから演奏に関していうと、僕が一番うるさいと思うんですよ。だって我慢ならないんですもん。違う! ちょっと速い!ってなる。でもそこで、いい感じの俺の知らないリズムとかになってくると、「あ、これはこれでいいかも」とか、後から聴き直した時にいいかもって思ったりもする。そこが俺がソロにならない理由なのかもしれないです。

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