米銃乱射事件で注目集める「大きいお友達」の極右過激派たち

ブロニーファン文化と極右との関係とは?

このコミュニティの発端が女性蔑視やヘイトスピーチの温床となる傾向にある4chanであることから、『マイリトルポニー』ファンカルチャーの中にも極右過激思想に偏る少数派がつねにいた、とオルシーニ氏は言う。「2010年代中盤ですでに少数派の台頭が見られました。(鉤十字をつけたポニーの画像や、精液まみれのポニーのフィギュアなど)世間を騒がせたり、不快な思いをさせたりする目的でファンカルチャーに参加する人たちです」とオルシーニ氏。「『マイリトルポニー』のファンカルチャーをクリエイティブに扱うブロニーファンのアーティストやミュージシャンなど、ポジティブな少数派もいましたが、この10年はそれと合わせて不快なものも出回っていたんです」

近年こうした過激な側面は、以前にも増してメインストリームから注目を浴びている。昨年のジョージ・フロイドさん殺害と、全米各地で発生したBlack Lives Matter抗議運動を受け、ファンアート・コミュニティDerpibooruでは内部抗争が勃発した、とアトランティック紙のケイトリン・ティファニー記者が報じた。政治的メッセージを広める場として利用されるべきではない、という理由で、大勢のDerpibooruユーザーがBlack Lives Matterをテーマにした『マイリトルポニー』ファンアートを批判した。ブロニーカルチャーでは以前から、MAGA運動やナチ系の画像を投稿していたにも関わらず、だ。こうした画像には、鉤十字をあしらったオリジナルキャラクター、Aryanneの画像もある(アトランティック紙の記事を受けてDepibooruの管理人は当初、表現の自由を奪っているという見方に反論していたが、最終的には「人種差別を宣伝している、あるいは感情を逆なですることだけを目的としているような画像は断固禁止する」と規約を改定することで手を打った)。

フェデックス銃乱射事件の犯人が『マイリトルポニー』のファンカルチャーの住人だった、という報道に対し、コミュニティのメンバーは極右過激派との関わりを積極的に否認する行動に行動に出ている。「極右ブロニーはついに死人を出した。我々のコミュニティや空間から彼らを追放しなくては。Derpibooruのどっちつかずの態度はまっぴらだ。ああいう連中は積極的に排除しなくてはならない」と、主要なメンバーはツイートしている。彼らのファンカルチャーがメインストリーム社会で広く誤解されてきたことを踏まえ、コミュニティのメンバーは報道のされかたに懸念を示して応戦している。「いったんニュースがインターネットで多くの人々に広まれば、反動が起きることが予想されますのでご用心ください」と、『マイリトルポニー』のファンサイトEquestria Dailyも注意を呼びかけた。

Translated by Akiko Kato

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