第93回アカデミー賞授賞式総括:『ノマドランド』主要3部門を受賞、監督はアジア人女性初受賞

第93回アカデミー賞授賞式で『ノマドランド』が作品賞を含む主要3部門に輝くという偉業を成し遂げた。非白人女性として初めて監督賞に輝き、歴史に名を刻んだ同作品のクロエ・ジャオ監督(Photo by Chris Pizzello-Pool/Getty Images)

米現地時間4月25日、ロサンゼルスで開催された第93回アカデミー賞授賞式で『ノマドランド』が作品賞を含む主要3部門に輝くという偉業を成し遂げた。非白人女性として初めて監督賞に輝き、歴史に名を刻んだ同作品のクロエ・ジャオ監督。また、女優のフランシス・マクドーマンドは、3回目となる主演女優賞を受賞した。

作品賞、主演女優賞、監督賞というアカデミー賞でもっとも栄えある賞とともにクロエ・ジャオは、監督賞を受賞した初の非白人女性として歴史に名を刻んだ。女性が監督賞を受賞するのは、ビンラディン暗殺作戦の裏側を描いた『ゼロ・ダーク・サーティ』で2010年に同賞を獲得したキャスリン・ビグロー監督以来2人目だ。『ノマドランド』に主演したフランシス・マクドーマンドは、3回目となる主演女優賞に輝いた(1997年に『ファーゴ』、2018年に『スリー・ビルボード』で主演女優賞を受賞)。

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ほかのアクティング部門では、『ファーザー』で認知症の父親を演じたアンソニー・ホプキンスが2回目の主演男優賞を受賞するというちょっとした番狂わせもあった(ホプキンスは1992年に『羊たちの沈黙』で同賞を受賞)。その一方、『ユダ・アンド・ザ・ブラック・メサイア(原題)』で米黒人解放組織「ブラックパンサー党」のリーダー、フレッド・ハンプトンを演じたダニエル・カルーヤが助演男優賞を受賞。アメリカに移住した韓国人の家族を描いた『ミナリ』で主人公一家の祖母を演じたユン・ヨジュンが助演女優賞を受賞した。

脚本賞を受賞したのは、『プロミシング・ヤング・ウーマン』のエメラルド・フェネル。13年前に脚本家のディアブロ・コーディが『JUNO/ジュノ』で同賞を受賞して以来2人目の女性監督/脚本家による受賞となった。脚本賞は、『ファーザー』のフロリアン・ゼレール監督と脚本を手がけたクリストファー・ハンプトンに贈られた。

音楽部門では、『ユダ・アンド・ザ・ブラック・メサイア』の主題歌「Fight for You」を手がけたH.E.R.が主題歌を受賞。『ソウルフル・ワールド』のトレント・レズナー、アティカス・ロス、ジョン・バティステが作曲賞を受賞した(レズナー&ロスにとっては2度目、バティステにとっては初のオスカー)。

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新型コロナのパンデミックにより、今年の授賞式はおなじみのドルビー・シアターではなくロサンゼルスのユニオン・ステーションで開催され、例年と比べるとかなり小規模だった。だが、アメリカ西部のターミナル駅であるユニオン・ステーションは、光が降り注ぐ大きな窓の効果によって魅力的な授賞式会場となった。そこでは、選ばれた少数のゲストたちが社会的距離を保ちながらテーブル席に着いた。多少は2月に開催されたゴールデングローブ賞授賞式と似たり寄ったりな雰囲気もあったが、授賞式のディレクターを務めたグレン・ウェイス——ならびにスティーブン・ソダーバーグ、ステイシー・シェア、ジェシー・コリンズといったプロデューサー陣——は映画にふさわしいスタイリッシュさを備えようと力を尽くした。女優のレジーナ・キングが颯爽とメインステージに上がるオープニングシーンは、ソダーバーグ監督の『オーシャンズ』シリーズから飛び出してきたかのような印象を与えた(司会者不在のアカデミー賞授賞式は今年で3度目)。

Translated by Shoko Natori

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