BABYMETAL十番勝負、日本武道館の舞台で彼女たちが見せたもの

SU-METALとMOAMETALの過去と現在

その後も「ギミチョコ!!」「ド・キ・ド・キ☆モーニング」といった、ベストアルバム『10 BABYMETAL YEARS』収録の初期ナンバーを立て続けに披露。曲によっては客席側も向いて演奏していた“神バンド”の面々が、ステージ側に向き合いながらプレイする一幕も(ギタリストやベーシストのみならず、ドラムセットまでもが回転してステージ側を向くのだ!)。国内外で長きにわたりBABYMETALをサポートしてきた神バンドの面々の活躍も、BABYMETAL史を語る上では欠かせないものがある。特にこの日も、観ているこちら側がドキッとするほどの爆音で“ライブ会場ならではのナマ感”を堪能させてくれたことも、コロナ禍で日常からライブの機会が減った今ならでは。さらに、ステージ上のBABYMETALも曲ごと、歌うパートごとに南側、東側、西側、北側といったようにパフォーマンスを届ける方向を変えていく。これも八角形ステージならではの演出で、どの席に座っていてもメンバーとの距離が比較的近く感じられるのは武道館の大きな特色と言える。

お馴染みの楽曲でひとしきり盛り上がったあと、この日最初のサプライズが訪れる。映像演出を通じて「手首の準備はできているか?」と煽りが入ると、三三七拍子のリズムにあわせてハンドクラップで会場の空気を温めていく観客。これに続いて、2公演ごとに差し替えられる“日替わり”楽曲としてこの日選ばれた「GJ!」がスタートする。ステージではキッズダンサーたちを引き連れたMOAMETALが、大人びた妖艶さと幼さが残る茶目っ気とが混在する表情で観る者を魅了し続ける。同曲が収録された2ndアルバム『METAL RESISTANCE』がリリースされた2016年当時、まさかこんなパフォーマンスを見られる日が来るとは夢にも思わなかった……筆者と同じように感じるファンも、きっと少なくないはずだ。


Photo by Taichi Nishimaki

そして、もうひとつのサプライズがSU-METALのソロ楽曲「NO RAIN, NO RAINBOW」。こちらも“日替わり”楽曲のひとつで、今回はステージ上でピアノを用いた演出も用意され、SU-METALの強弱を巧みに使い分けた歌唱と、静と動のダイナミズムを見事に活かしたアレンジによって、楽曲本来が持つドラマチックさがより際立つ結果となった。この曲も『METAL RESISTANCE』発表時には想像もしなかった未来を見せてくれた、貴重なパフォーマンスだと断言しておきたい。


Photo by Taku Fujii

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