BABYMETAL十番勝負、日本武道館の舞台で彼女たちが見せたもの

BABYMETAL(Photo by Taichi Nishimaki)

今年1月19日からスタートした全10公演におよぶBABYMETALの日本武道館公演『10 BABYMETAL BUDOKAN』が、4月15日の“DOOMSDAY - X”をもって終幕した。

1月に2公演、2月に4公演、3月に2公演、4月に2公演と変則的な形ながらも、グループ史上初の武道館ワンマン10公演に挑戦したBABYMETAL。1月7日に発出された二度目の緊急事態宣言の影響もあり、各公演とも20時までに終演する措置が取られたり、来場者に配布される“Savior Mask”を必ず自身のマスクの上から着用するドレスコードが用意されるなど、万全な新型コロナウイルス感染拡大予防対策をとりながら敢行された。

筆者はこれまで、1月20日の“DOOMSDAY - II”、2月16日の“DOOMSDAY - III”、2月20日の“DOOMSDAY - VI”、3月16日の“DOOMSDAY - VIII”の4公演を観覧しており、うち1〜2月の3公演に関しては現在発売中の『Rolling Stone Japan vol.14』誌面にて総括済みだ。これらを踏まえて、今回の最終公演について触れていく。

まず、今回の武道館公演のステージセットは全公演共通しており、アリーナの客席を潰して設置された八角形のセンターステージ構成。会場、ステージの作りからBABYMETALの初武道館公演となった2014年3月の『赤い夜 LEGEND“巨大コルセット祭り” 〜天下一メタル武道会ファイナル〜』および『黒い夜 LEGEND“DOOMSDAY” 〜召喚の儀〜』を彷彿とさせるものがある。あの武道館2DAYS公演にて“METAL RESISTANCE 第1章”が完結し、海外への武者修行が始まったことを思えば、今回の“METAL RESISTANCE最終章”までに彼女たちがいかに大きく成長したかがおわかりいただけるだろう。

会場が暗転するとまず、ステージ天井から吊るされた360度全方向LEDスクリーンにて映像演出がスタート。ここでは東西南北に分かれた客席ごとにクラップやストンプ、ウェーブヘドバンなどを促し、声を上げられない観客の高揚感を煽っていく。続いて、“破壊と再生の物語”と題してこの武道館10DAYS公演に至るまでの流れが物語風に解説されたことで、今夜がついに真の“最終決戦”であることを強く実感したというファンも少なくなかったはずだ。

そんな最終日のオープニングを飾る楽曲は、初期からのファンならお馴染みのライブオープニングの定番曲「BABYMETAL DEATH」。しかも、先の“破壊と再生の物語”をなぞるかのように、新たなアレンジが加えられたリビルドバージョンとして生まれ変わった形だ。すると、暗闇に眩い光と赤い照明が刺す中、魔法陣の紋章に磔にされたSU-METAL(Vocal & Dance)、MOAETAL(Scream & Dance)、“アベンジャーズ”(=サポートメンバー)の3人が迫り上がっていく。その光景は、どこか秘教の黒ミサ的な何かと重なるものがある。そして、磔から解放された3人がセンターステージ中央に集まると、冒頭のスローパートをカットしていきなりヘヴィなギターリフから始まる「イジメ、ダメ、ゼッタイ」で、本格的にライブへと突入。MOAMETALとアベンジャーズが八角形ステージの周りを走るその絵は、2014年の初武道館公演と重なるものがある。が、今我々の目の前に立っているのはさらに頼もしくなったBABYMETALだ。あの頃の幼さ、あどけなさをはらんだ容姿から大人の女性へと成長した今のSU-METAL、MOAMETALには、美しさや凛々しさのみならず、芯の強さや逞しさも備わっていることが一目瞭然。そんな彼女たちが2021年にパフォーマンスする「イジメ、ダメ、ゼッタイ」からは、歌詞の表面的な意味以上の思いやメッセージが伝わった。


Photo by Taku Fujii

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