佐藤健が語る、『るろうに剣心 最終章』とステイホーム:「役者人生で一番の作品」

──最終章を迎えるなかで、20代で初めて剣心を演じたときと、最終章で剣心を演じたときと、自分自身のなかで何か変化を感じていますか?

佐藤:1作目の当時、どんなふうに感じていたのかを鮮明に覚えているわけではないので、違いを感じながら演じていたというわけではないですが、ひとつ言えるのは、1作目からほとんど同じスタッフで撮影しているということ。気心の知れた仲間との信頼関係が変わらずそこにあるからこそ、よりリラックスした状態で剣心として撮影に入れました。作品への思い入れや愛着も、当時より今の方があると思いますし。

──剣心と縁の対決シーンは見ているこちらも力が入りました。縁役、新田真剣佑さんとの共演についても感想を聞かせてください 。

佐藤:お芝居にもアクションにも、非常にストイックに取り組んでいました。まっけんの良いところがすごく出ていると思う。まっけんが元々持っている勢いやエネルギーは、どこか縁と共通している部分もあったと思うし、本当に適役だったと思います。


©和月伸宏/集英社 ©2020映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会

──緋村剣心というキャラクターについても改めて伺います。剣心は、過去に重大な過ちを犯したことでずっと苦悩しながら生きています。多かれ少なかれ、誰もが過去の自分の言動に囚われてしまうことはあると思うのですが、そのことについて佐藤さんは、剣心を演じながらどう考えていましたか?


佐藤:剣心ほどの過去に向き合いながら生きている人間はなかなかいないですよね。でももし、自分が剣心の立場だったら過去に囚われてしまう気持ちも分かるし、向き合わなければならない気持ちも分かる。そこは共感できました。ずっと過去を背負っているからこそ、穏やかに暮らしているようで、いつもどこか悲しみを秘めている。それこそがこの剣心というキャラクターの魅力的なところでもあるわけで、自分の中に過去の罪の意識が内包されているという点は、演じる上でとても大切にしないといけないなと思っていました。

──10年間、剣心を演じてきた中で、「剣心らしさ」が佐藤さん自身に影響を与えてもいますか?

佐藤:「剣心のようにありたい」と思うこともありますが、なかなか難しいですよね。自己犠牲は厭わず人の幸せのために生きている。それってすごく素敵な生き方だけれど、真似できるか? となると難しい。ずっと剣心を理想とし続けてはいますが、それを体現するところにはまだいけてないんだろうなと思います。ただ、剣心を演じているときは、普段の自分よりも多少はその理想の姿に近づいているかもしれないですね。

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