カネコアヤノが語る、流されやすい自分に「言い聞かせるため」に歌う理由

同じ人とずっと同じことをやっていくことの強さ

ー衣装さんやメイクさんも含めて、素敵なチームですよね。どうやってみなさんと出会ったんですか?

衣装はもともとFUTATSUKUKURIが好きで、デザイナーのかえさんと知り合いだった人がいたので、その人に紹介してもらいました。そこから、実は衣装頼みたいんですけどって伝えたら音楽も聞いてくれて、両思いになり、今では大事なときはFUTATSUKUKURIを着ようって決めてる。FUTATSUKUKURIは奥さんがデザインもしながら服を作ってるんですけど、子どもが生まれたら子どもがいることをテーマにシーズンでコレクションを出したり、その時々の暮らしを反映させて製作していて、私もそれに影響を受けてる。かえさんの出す文章とか、今回はこういう気持ちでつくりましたみたいなものに、すごく感化されますね。



ヘアメイクは7年前ぐらいからずっと、同い年の山本さん(山本りさ子)にやってもらっていて、今もめちゃくちゃ仲いいし、ほんと長いから、何も言わなくても伝わる。基本的にお任せです。髪まっすぐにしたい、ぐらい。私がどういう姿でステージに立って歌いたいかも多分もうわかってるから、本当に不安とかはないですね。カメラマンは今回小財美香子さんにお願いしたんですけど、もともと私がInstagramをフォローしていて、いつか一緒にやりたいなって思っていて。で、今回のイメージに合うかなと思って、声かけて一緒にやりました。

ープロデュースされて見え方が決まるアーティストも多いと思うんですけど、カネコさんは本当に、自分がやりたい感じに。

そうですね。自分でジャケのイメージも考えるし、ミュージックビデオでいえば、こういう所へ行きたいとか、映画のワンシーンみたいにしたいんですとか、できるだけ自分から出てくるものをやりたいとはすごい思ってます。

ーカネコさんのつくり出すものって、この先もう見られなくなってしまうって思わせるような儚さがあると思うんですけど、FUTATSUKUKURIのお洋服とか、そういうところからつくられてるんだなと思って。

そうなんですよ。今回のアルバムに関わってる人達以外にも、ライブも基本的に同じ映像のチームだし、照明もずっと同じ人にやってもらってて。前の事務所で一緒にやってた人は、どんどん新しい人とやってどんどん新しい自分に出会わないと、ってスタンスの人だったんです。だけど、私は今よりももっとずっと人見知りがひどかったし、その都度新しい人とやっていたら、もう、ぶっ壊れてしまう、と思って。

ー(笑)

それだけがかっこよさじゃないし、同じ人とずっと同じことをやっていくことの強さとか、頑丈な部分を作ることもかっこよさのひとつだろうって思って、最初の事務所をやめたときから今まで、意地でもそれをやるようにしてる。バンドもレコーディングもそうですけど、阿吽の呼吸みたいなものって絶対そういう人たちとしかつくれないから、それができてきたかなって思います。このままの状態で大きい会場でやるのが一番かっこいいし、最初はそれがやりたい。大きくなってきたからこういうプロデュースをいれなくちゃとか、MVにこれだけお金がかけられるからこういうことをしましょうとか、売れる曲みたいなのは狙ってつくりたくないし、今自分がやりたいことをちゃんとやって、このまま出てくるものだけを貫いて貫いて、大きい会場でやれるのが一番やっぱ、かっこいい気がする。それがやりたいです、ずっと。

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