カネコアヤノが語る、流されやすい自分に「言い聞かせるため」に歌う理由

カネコアヤノ



考えすぎずに「好き」でいいと思う

ーカネコさんを見てるとすごい女の子っぽい格好もしたくなるし、かっこいいギターをかき鳴らしたくもなる。

私も両方好きです。ぶりぶりのワンピースもいまだにめちゃくちゃ好きだし、T シャツにジーパンも好きだし。全部できたら全部楽しいじゃん、みたいな。化粧はあんまりしないからわかんないけど、肌の色がこれだからこの色が似合いますって提示は、人によっては考えすぎちゃって苦しくなっちゃう人もいるんじゃないかなって。だから本当に、「好き」でいいと思うけどな。好きな服が着れて、自分の気分が上がることが一番なのではって思っちゃう。

—パーソナルカラー診断とか骨格診断とかいろいろありますよね。

そうそう!  ほんとはフリフリが好きなのに、あなたの骨格的には V ネックのブラウスとこういう形のパンツが似合います、とか言われても、「でも全然好きじゃないし自分上がらないんですけど」って。生きづらいなって思う。もちろん洋服があんまりわかんない人だったら助けられるのかもしれないけど、もともと服が好きで、こういう暮らしがしたくてって気持ちがあるんだったら、シカトして生きてみた方がいいんじゃないって最近は思ったりします。

—「春の夜へ」“僕しか分からない美しさよ”って歌詞がすごく好きです。他人からの評価じゃなく、自分が好きなんだからいいって思えるのがカネコさんの強さですよね。

もう自分に言い聞かせるためにも歌ってる。私にしか分からないんじゃ!みたいな。そういう、人に言われた言葉とかがよぎると自分らしさがわかんなくなっちゃうから。私は特に意思が弱いっていうか、本当はすごいネガティブだし人に流されやすいから、こういうことを自分に言ってないと、自分がどっかに行っちゃいそうで。だから歌っていきたいです。



—そういうところがリスナーが惹きつけられるところなんだと思います。

いやあ、どうなんでしょう、嬉しいです。暴力的な言葉に勝つには、自分で励ますしかないっていうか。自分のことを自分でちゃんとケアできるようになりたいですね。

ーそういう風に思えるようになったのって、何かきっかけがあったんですか?

どうだろう。もともとすごく消極的で、流されちゃう自分が本当に嫌だったけど、嫌ってことさえも気づかないようにしてた時期が22歳ぐらいまであって。そのタイミングで最初に所属してた事務所を辞めることになってしまって、本当に何もない状態になって。そこではじめて、私ってなんで音楽やってるんだっけって考えたんです。誰かがいないとできないことだったのかな、みたいな。もともと働くことも誰かに従うことも苦手なのに、ここで音楽やめたらそうなるのはまずいって思ってから、とにかく変わりたい方向に頑張ってみました。震えながら意見を言ってみたり、本当につくりたいCDって何だったんだろうとか、今まで自分がどんな気持ちで音源買ってたかな、どういうライブに感動してたんだろうって考えたりしました。そしたらちょっと楽になった。生きやすくなったなって思います。

—自分の軸を取り戻すような感じですか?

今までわかんなかったものが、はっきり見えるようになったっていうか。自分のことなのに。でもやっぱり今もずっと考え中って感じですよね。

ー身を削って音楽をやってくれてる感じが。

いやいやいや、人々が今日あったことを日記に書くのと本当に一緒だと思います。それをみんな楽しんで、一緒につくってくれて、嬉しいです、本当に。

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