カネコアヤノが語る、流されやすい自分に「言い聞かせるため」に歌う理由

バンドの中には「救い」がある

ーなるほど。カネコさんは曲の中でいろんな光の表現をされてると思うんですけど、今回のアルバムは「閃きは彼方」にある“雷光”のような、一筋の希望の光のようなアルバムだなと思いました。去年は音楽活動を制限されてしまうことも多くて、気持ちが沈んでしまうことも?

そうですね。終わりって感じでしたね。入れた曲達をつくるか、止まるか。何をするにもそういう感じ。曲ができた後も、何もできなくなっちゃったりはしました。



—ライブができないことで、やっぱりモチベーションが下がってしまいましたか?

下がりまくりです。コロナ前って、とにかくもうライブしかしてなかったから。ライブないときは週2とかでリハに入って、週末はライブしてって感じだったから、本当にやることが何もなくなっちゃって。抜け殻みたいな状態になりましたね。

ーそうですよね……。

あとサンプラザが、本当にずっとやりたい会場だったし、見てきた中でも好きな会場だったから、自分がやれることになったのも嬉しいし、チケットもソールドアウトしていて、もうすごい楽しみだったんですよ。コロナが感染拡大してきて、さすがに4月末にはおさまっているだろうって思ってたら、だんだん雲行きが怪しくなってきて、また延期になってまたその先も延期になって、ちょうど一年延期になっちゃって。サンプラザがなくなったときに、「あ、もう無理」って。今年は諦められる心を準備しておかないとやられちゃうなって思って、あんまり期待をしないようにしてました。期待しても今年は駄目になっちゃうことが多いなって。

—そんな中でも延期して公演してくれて、ファンのみなさんすごい喜んでると思います。ありがとうって。

頑張ります、ありがたいです。

—ライブには学生時代からよく行かれてたとか。中野サンプラザではどんなアーティストを見てましたか?

サンプラザでは最近だと、細野さんを見に行きましたね。あと学生のとき、ちょうどフジファブリックの志村さんが亡くなって、そのときの追悼がサンプラザだったんですよ。それは行きました。学生時代はすっごいちっちゃいライブハウスばっかり行ってたから、大きいところは、武道館とかZepp東京とかブリッツとかSHIBUYA-AXとかしか行ったことないんですけど。

—カネコさんのライブを見てると、女の私でもドキッとしちゃうような男の子みたいな瞬間もあれば、女性ならではの儚げな表現もあって、性別不詳だなっていつも思うんですよね。

めちゃくちゃ嬉しいです。そうありたいぐらいですよね。こういう時代ですけど、結局性別が一番コンプレックスかもしれない。最近は女性であることは好きになってきたけど、やっぱり、男の子に対する憧れはもう一生消えないと思う。だから、今のバンドの中にいるときって、そこはあんまり考えなくていいことにめちゃくちゃ救いがあるなって思ってる。そういさせてくれるというか。別にみんなはそこは考えなくていいんですけど、自分がそうありやすい場所ではあるかなって思いますね。

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