アルファレコード元ディレクターとともに1980年代の作品を振り返る

MONDAY MORNING / ブレッド&バター

田家:1980年6月に発売になった2枚目のアルバムのタイトル曲でした。この作り込み方は、ブレッド&バターの中でもかなりスケールの大きな曲になっていますね。アルバムの演奏はパラシュート。当時のスーパーバンドの一つですよね。ブレッド&バターにこういう演奏力がある人たちが加わることによって、違うところに行けるんじゃないかと思われたということだったんでしょうね。

有賀:バンドの選定はメンバーから出たのかもしれないですね。忘れちゃった。なんでもよければいいんです(笑)。

田家:さっき岩沢さんが「出入り禁止」というお話がありましたが、これは険悪な感じだったんですか?

有賀:険悪ではないんですけど、最初に『Late Late Summer』というアルバムを作る前の会議は険悪だった気がしますね。レコーディングが進んでいくうちに、僕をプロデューサーとして認めてくるんですよ。例えば彼らがやったことないハーモニーを僕がアレンジで加えたり、譜面でCって書いてあると普通はドミソの和音を付けるんですけど、僕はミソシレを付けるんです。これは−1と言って一度を抜かして、代わりに9thを加えるんですね。こういうジャズ手法のハーモニーを彼らはやったことがなかったし、譜面も読まなかったので。僕がピアノを弾きながら旋律を口伝いに伝えて、彼らが覚えて二人一緒にレコーディングするんです。彼らは自分たちがどういうサウンドになるのか分からない。それでも、レコーディングが終わってミックスするとすごいサウンドが耳に届くわけで。それで、僕にやらせてみようと思ったんじゃないかな。

田家:なるほど。「MONDAY MORNING」はその成果みたいな曲ですね。

有賀:そうですね、アルバムのレコーディングが終わる頃には僕がプロデューサーになってましたね。今は僕のことを認めてくれたから、すごくいい関係です。彼らのライブに僕もサックスで出演しちゃったりして。

田家:ありがとう、という結果がそこに表れていますね。続いて、有賀さんが選ばれた3曲目、日向大介 with encounter「Hot Beach」。

Rolling Stone Japan 編集部

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