性的人身売買の疑いで窮地に立たされた米下院議員、捨て身の一手

共和党議員の大半が口を閉ざしたまま

ゲーツ議員には、ジム・ジョーダン下院議員(共和党、オハイオ州代表)がおざなりな助け舟を出している。ゲーツ議員とはビーヴァス&バットヘッドのような間柄のジョーダン議員は、ゲーツ議員の否認を「信じる」と発言した。また非常に熱心な連邦議員、グリーン議員も支持を表明している。彼女は先ごろ、Black Lives Matterの抗議デモ参加者と対峙した警察官に「金メダル」を授与する法案を提起する、と発表したばかりだ。「私を信じてください、噂やニュースは真実と同じではありません」。Qアノン大好きの陰謀論者は先月、このようにツイートした。「私は@mattgaetz議員の味方です」 グリーン議員は以前からゲーツ議員のもっとも熱烈な擁護者で、その都度、彼女なりの「真実」を吹聴している(グリーン議員はこれまでにも、銃乱射事件はやらせだ、オバマ元大統領はイスラム教徒だ、カリフォルニアの山火事の原因は高速鉄道の用地を確保するために宇宙空間から放たれたレーザー光線だ、と主張している)。

だが他の共和党議員はほとんど口を閉ざしたままだ。自分と寝た女性たちの写真を議員仲間に見せた他は、ゲーツ議員が議会内でとくに友人を作ろうと努力してこなかったことを考えれば、さして驚くことでもあるまい。

ゲーツ議員はFOCニュースのエコシステムに受け入れられる努力は惜しまなかった。だが同ネットワークも今回は距離を置いている。これはおそらく、ニューヨーク・タイムズ紙が捜査について報じた夜に『タッカー・カールソン・トゥナイト』に出演して、ぶざまな姿をさらしたせいでもある。FOXではいつでも口達者なゲーツ議員だが、この日のインタビューでは始終口ごもり、何度となくカールソンに助け舟を促した。カールソンは明らかに不機嫌そうだった。「今までやってきたインタビューの中でも、とくに奇妙なものでした」 ゲーツ議員が去った後、司会者はこう発言した。

ではショーン・ハニティー氏は? NPO団体Media Mattersによると、2017年8月以降ゲーツ議員は彼の番組に127回も出演した。議員としては、リンゼイ・グラハム上院議員(共和党、サウスカロライナ州選出)の次に多い。ハニティー氏もかつてオフレコでゲーツ議員を称賛し、2018年フロリダ州知事選の際にはロン・デサンティス候補の選挙集会で、ゲーツ議員を「連邦議会のミッキー・マントル」と呼んだ。ちなみにデサンティス州知事も、性的人身売買疑惑でゲーツ議員の擁護を拒んだ友人の1人だ。「とくに言うことはありません」。スキャンダルについてコメントを求められた州知事はこう答えた。

ディープステートがトランプ前大統領を陥れようとしている、とあれだけ騒いでいたハニティー氏も、ゲーツ議員の捜査の黒幕として司法省内の悪党を名指しするには至っていない。事実、ハニティー氏は捜査に言及してすらいない。かつてフロリダ州議員にとって連邦議会よりも居心地のいい場所だったFOXでも、今回のスキャンダルははほとんど取り上げられていない。「しばらくは彼の姿を見ることはまずないでしょう」 FOXニュースの情報筋も先ごろ、情報サイトDaily Beastにこう語っている。

Translated by Akiko Kato

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