性的人身売買の疑いで窮地に立たされた米下院議員、捨て身の一手

2021年4月14日、ワシントンの連邦議事堂で、下院議会司法委員会の会合に出席するマット・ゲーツ下院議員(共和党、フロリダ州代表)(Photo by J. Scott Applewhite/AP Images)

性的人身売買をした疑いで司法省の捜査対象となっている米共和党のマット・ゲーツ下院議員(フロリダ州選出)の政治活動委員会が、一連の性的容疑から弁護する目的で数十万ドル相当の広告枠を購入する手段に出た。

3月後半、ニューヨーク・タイムズ紙は、同議員が17歳の少女に売春させた容疑で連邦捜査を受けている、と報じた。違法活動や関連性を示す証拠が山積みの中、当然ゲ-ツ議員は、これらはみな自分を破滅させようとするリベラル派の企みだと主張している。「すべての黒幕は分かっています。アメリカ合衆国議員の排除を目的とした、民主党とメディアを中心とした中傷行為です」。政治情報メディアPoliticoによると、政治活動委員会Friends of Matt Gaetzの広報担当者は広告枠に購入に関する声明でこう述べた。今となっては、同委員会がゲーツ議員の友人代わりだ。

政治基盤のパンハンドル地区と全米で放映予定のこのCMは、評判回復を図るゲーツ議員が唯一放送上で得られる支援をいささか示すことになるだろう。というのも、通常なら影響力を持つ仲間がMAGA軍団の同胞の擁護にかけつけるが、彼らの大半が彼を見限ったからだ。

CM枠の購入は最善の宣伝方法とはいえない。このことは誰よりもゲーツ議員本人がよく知っている。いかにも信頼できる人物が――この場合、連邦議員はうってつけだ――TVに出演して、これら嫌疑は自分を陥れようとする民主党やフェイクニュースやディープステートが画策したものだ、自分がこれほどアメリカを愛しているのが気に入らないのだ、と強調するのが一番いい。そもそもゲーツ議員も、トランプ前大統領のために数百ものメディアに出演してその名をとどろかせた。議員仲間が彼のために同じことをしてくれたなら、おそらく彼も自分の身を守るために6桁相当の献金をはたいてCM枠を買う必要もなかっただろう。

だが、議員たちはそうしなかった。

ケビン・マッカーシー下院少数党院内総務(共和党、カリフォルニア州代表)は、今年初めにマージョリー・テイラー・グリーン議員の人種差別的、陰謀論的、その他さまざまな虚言を擁護してきたが、ゲーツ議員の疑惑は「深刻だ」と述べ、人々は「あらゆる情報を知る」必要がある、と指摘した。おわかりだろう。同じく少数党幹部のスティーヴ・スカリース下院議員(共和党、ルイジアナ州代表)も14日、捜査について慎重に言葉を選びながらコメントした。「噂に基づいて憶測するのは難しいが、もし司法から何らかの正式な動きがあれば、もちろん我々も対応と措置を講じるだろう」

Translated by Akiko Kato

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