歴代最高のメタルアルバム100選

ローリングストーン誌が選ぶ歴代最高のメタルアルバム100選(Photo by Rolling Stone)



85位 - 81位

85
ダークスローン
『Transilvanian Hunger』 1994年

救いようのない奴らのためのレコード

この4作目でギターとベースとドラムを担当しているフェンリツは、本作について「頑なに単調。救いようのないやつらのためのレコードさ。娯楽的要素が皆無だからな」と2009年に語っている。紙のように薄っぺらいプロダクション、フェンリツの未熟なテクニック、安物のレコーディング機材(4トラックレコーダーで録音)という組み合わせでなければ、チープで氷のように冷たいギターのトーンや、一定のパターンを刻み続ける瞑想的で音の篭ったドラム、首を傾げずにはいられないベースラインは生まれ得なかった。ここでの生々しく無防備なアティテュードとローファイなアプローチは、後進のブラックメタル・バンドに影響を与え続けている。K.K.



84
ハイ・オン・ファイア
『Blessed Black Wings』 2005年

最も無慈悲なメタルアルバム

スリープのフロントマン、マット・パイクによるストーナー/スラッジメタルプロジェクトの3作目を、デイヴ・グロールは「近年で最も無慈悲なメタルアルバム」と形容した。元メルヴィンズ/サン O)))のジョー・プレストンとスティーヴ・アルビニの2人が、本作のサウンドに大きく寄与しているのは間違いない。「生々しくパンチの効いた、臨場感のあるサウンドが欲しかった」パイクは2005年にそう語っている。彼は歌とギター、そして歌詞の面でも飛躍的な成長を遂げている。「Crossing The Bridge」は特に秀逸だ。「当時の俺はホームレスでどん底にいた。“自らを鎖で縛りつけた戦士”っていうフレーズは、あの頃の俺自身の心境を歌ったものなんだ」D.E.



83
バロネス
『The Red Album』 2007年

コンテンポラリープログレメタルの雄

サバンナ出身のバロネスは本作でもって、マストドンやカイリサが牽引するジョージア州のプログレメタルシーンの雄となった。職人芸というべきアレンジ、捻りの効いた高速リフやメロディックなギターハーモニー、ピンク・フロイドを彷彿とさせるドリーミーなサウンドスケープ、そしてジョン・ベイズリーによるしゃがれ声のシャウトのコントラストが見事だ。「『The Red Album』をリリースした時、過去のEPよりもずっと大きな反響があった」ベイズリーは2008年にそう語っている。同じく色にちなんだタイトルを付けた以降の数作でも音楽性をさらに拡大してみせたが、本作がバンドのヴィジョンを最も明確に示したレコードであることは疑いない。D.E.



82
エントゥームド
『Left Hand Path』 1990年

スカンジナビア半島から世界へ

このデビュー作に先駆けて、エントゥームドはニヒリスト名義でデモ音源を発表し、萌芽期のデスメタルシーンで頭角を現していた。モービッド・エンジェル、オートプシー、デスなどのライバルと彼らを隔てていたもの、それはメンバーたち(当時は全員が10代)のリズミックなグルーヴへの嗅覚だ。ファンの間で「サンライト・サウンド」と呼ばれている、シンコペーションの効いたリズムとディープで爆発的なディストーションギターは、血や骨といったテーマ一色の歌詞からは想像できないほど、ロックンロールへの深い洞察を窺わせる。本作はスカンジナビア半島から世界に飛び出した無数のバンドを導くオーロラのような存在であり続けている。I.C.



81
バソリー
『Under The Sign Of The Black Mark』 1987年

驚異的進化を遂げた唯一無二の存在感

ヴェノムの影響が顕著なパンクメタルのアルバムを2枚発表したあと、バソリーは驚異的な進化を遂げ、唯一無二の存在感を示してみせた。本作はのちにブラックメタルと呼ばれるジャンルの基盤を確立。エンペラー、サテリコン、ダークスローンなど、その後の30年に登場した白塗りの極悪人たちによるバンドは、すべて本作の影響下にあると言っていい。バンドのブレーンであるクォーソンは、金切り声のヴォーカルとミニマルなギターやドラム、トライ&エラーを繰り返すうちに生まれた奇妙な合唱隊のようなサウンドまで、すべてのパートを自身で担当している。ブラックメタルの再評価が進み始めた2004年に、彼は38歳の若さでこの世を去った。I.C.



Translated by Masaaki Yoshida

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