地下室の人食い殺人鬼、出会い系アプリに潜む恐怖

ケヴィン・ベーコンさんが地下室で遺体で発見された数日後の2020年1月上旬、マーク・ラタンスキーの自宅を囲む警察の立入禁止テープ(Photo by Ryan Garza/© TNS/ZUMA)



インターネットで殺人犯に出会わないようにするために

当初ラタンスキーはベーコンさんに殺すよう頼まれたため喉をかき切ったと主張していたが、ランシング・ステイト・ジャーナル紙によるとベーコンさんは事前に自分の安全の保証を相手に確認していたことがベーコンさんの携帯から見つかったメッセージにより明らかになった。ラタンスキーの弁護人ダグラス・コーウィン氏は主張を支持するため自殺幇助罪を求めたが判事に却下された。

2020年1月、コーウィン氏は心神喪失抗弁を申し立て、2月に責任能力がないと判断されたが、裁判所は10月それを撤回した。2021年7月より始まる裁判で終身刑を言い渡される予定だ。

マイヤーズさんは友人の死の責任を問うより、あの夜ベーコンさんを助けるため、少なくとも今日を生きて迎えるために自分に何が出来たかを考えている。

ベーコンさんの失踪以降マッチングアプリで知り合った男性が相手の男性に殺される事件が少なくとも2件あり、ベルリンで起こったそのうち1件では教師がGrindrで知り合った相手を食べている。マイヤーズさんはこれら一連の事件から、一夜限りの相手を見つけるのが匿名でこんなにも簡単に出来てしまう今の時代にどうすれば自分の身を守れるかを考えるようになった。

Grindrはメールで「ベーコンさんのご家族ご友人の皆様にお悔やみ申し上げます。今回の恐ろしい事件に社員一同大変心を痛めており、プライバシーの観点から特定のアカウントや警察当局との連携について公式に言及することは出来ませんが、捜査の協力を依頼された際は惜しみなく力を尽す所存です」とコメントした。

マイヤーズさんはインターネットで殺人犯に出会わないようにするためには、アプリの安全性の確保から始めるべきだと考えている。「位置情報を使って出来ることは色々あると思います」とTinderがNoonlightと提携した例を挙げながら、アプリにセーフティネットを組み込めるのではないかと語った。「でも今回のような事件の場合、他にどんな手が尽くせたかわかりません」

12月にベーコンさんの家族と友人たちはフリント・ロックに向かい、彼を偲ぶ壁画を描いた。前年にも同じように虹とトレードマークの紫色の髪のベーコンさんの似顔絵を描いたが、今年はシンプルに名前だけ。

一方でマイヤーズさんと、ベーコンさんを病院に送ったウッドリーさんは家に残った。ウッドリーさんの姉は彼女にベーコンさんの似顔絵を贈り、12月半ばに新型コロナウイルスに感染したマイヤーズさんは静かに彼を偲んだ。

快活で、優しくて、思いやりに満ちた友人が生きていると願いながら大勢の人と彼の行方を捜し、最悪の結果に終わってしまったあの日のことをマイヤーズさんは忘れない。「みんなで捜してた去年のあの日のことが未だにフラッシュバックします。クリスマスはいつも変な感じがしますが、少しずつ良くなると願うばかりです」

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from Rolling Stone US

Translated by Mika Uchibori

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