ミック・ジャガーが激白、陰謀論者と反ワクチン派は「議論しても無駄」

陰謀論者と反ワクチン派に思うこと

―陰謀論について曲を書こうと思ったのはなぜですか?

ミック:多くのことに関してわりと分別があるような人でも、受け入れられないことを抱えているように見える。俺にも何人か友人や知り合いがいて、わけのわからないことを言い出す……理不尽になるんだ。もちろん、相手にそれを言ったところでどうにもならない。向こうは受け入れないんだ。彼らは自分が信じるものだけを受け入れ、それを鵜呑みにする。こっちが何を言おうと関係なく、信じるんだ。合理的な考えはお呼びじゃない。

18世紀に合理主義を誇ったフランスのような国が、西欧諸国ではもっとも反ワクチン派が多かったりする。(ワクチンは)なにも新しいものじゃない。俺が子供のころ、もうかなり前の話だが、人々はポリオで死んでいった。次の日には姿を消していた。それもワクチンですっかり撲滅した。貧しい子供たちはポリオで死ぬか、障害を負っていた。俺の友だちも大勢がそうなった。もし自分に子供がいたらワクチンを受けさせるか、それともみすみす子供の足を動かなくさせるか? ああいう奴らと議論しても始まらない。そんなわけで、反ワクチン派を通して陰謀論にふれたってわけさ。歌詞の中でははっきり言っていないが。もっとも言い出したのは俺だから、ひょっとしたら歌詞に書くべきだったかもな(笑)

―ちょっと話を戻してもいいですか? 実際に陰謀論を口にする「友人や知り合い」がいるとおっしゃいましたね?

ミック:ああ、反ワクチン主義者とも話をしたよ。

―本当ですか?

ミック:ああ。無駄だがな……。

―でもどうやったらそんな風になるんです? どんな状況になったら、ミック・ジャガーが反ワクチン主義者と話すことになるんですか? Facebookで返信したとか?

ミック:いや、電話でだよ。ただ「いつワクチンを受けるんだい?」って聞くのさ。暇つぶし程度にね。「実はまだ受けてないんだ」「そうか、でもなぜ? 順番待ちかい?」「いいや、ワクチンには反対なんだ」 そういう人間が少なからずいることに気づいたんだ。何人かいるよ。だがこれに関しては――最初のころは大勢がそうだった――俺だって、ワクチンを受ける第1号にはなりたくなかったかもな。しばらく経てば考えを変えた人もいるだろうが、でもそれ以外の人はみな「選挙に勝ったのはトランプだ」とかなんとか言うのさ。俺もいちいち(曲に)盛り込んだりはしなかったが。

―曲の歌詞は悲惨な状況を描いていますが、コーラス部分は楽観的な雰囲気を残していますね。

ミック:国によって状況は違うが、ワクチンの量(が増えたり)だとか、ロックダウンが敷かれたりだとか、人々の考えが変わったり、断続的な経済再開だったり。でも今、多くの国ではトンネルの向こうに光が見えているように思う。光が見えるようになったから、ロックダウンの経験を曲に書いてみようかと思ったのさ。願わくば、これをきっかけにもう少しばかり自由になってくればいいがな。


From Rolling Stone US.

Translated by Akiko Kato

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