ユーミンら1970年代のアルファレコード作品を当時のディレクターと振り返る

Mr.サマータイム / サーカス

田家:今流れているのは、3月に発売になった映像作品「ALFA MUSIC LIVE」からサーカスの「Mr.サマータイム」。有賀さんが本日選ばれた5曲目ですね。1978年のカネボウ化粧品のCMソングでミリオンセラーになりました。この曲は有賀さんが手掛けられたわけですよね?

有賀:そうですね。「Mr.サマータイム」っていうのは最初「Mr.メモリー」っていうタイトルだったんですね。竜真知子さんが作詞をされて、これはフランスのミッシェル・フュガン&ル・ビッグ・バザールが作った曲ですね。

田家:1972年の曲だそうですね。この曲をピックアップしたのはどういう経緯で?

有賀:サーカスの前に私はハイ・ファイ・セットというグループをやっていて。ハイ・ファイ・セットは3人組で山本潤子が女性一人で、男が二人だったんですけど。レコーディングする時には、山本潤子に2ndをもう一回歌ってもらって四声にしてミキシングしてたんです。でもライブをやるとなるとハーモニーがちょっと未完成なところもあったんですが、サーカスは元々4人ですからハーモニーとして充分な声量が出せるんですよね。それで、この「Mr.サマータイム」は「Mr.メモリー」としてレコーディングして完成していたんですけど、キャンペーンの謳い文句が「Mr.サマータイム」なので、今から変えてくれと言われて。全部歌い直したんですよ。

田家:アルファレコードの中にはシンガーソングライターの流れ、ジャズフュージョンなどインスト主流の流れ、そして赤い鳥やハイ・ファイ・セット、サーカスとコーラスワークの美しいグループの流れと、それぞれのスタイルがありましたよね。

有賀:そうですね。ソロアーティストもいいんですけど、ハーモニーを出すというのが私の好きな分野だったのかな。何かとユーミンの作品でもコーラスを山下達郎さんに頼んだりしてましたね。

田家:サーカスは3人姉妹と従兄弟というファミリーのグループでしたが、こういう大人のコーラスをやるファミリーはいなかったですね。

有賀:ファミリーだといい点は、たくさん家で練習できるんですよね。練習すると、ハーモニーを作る声の出し方とか圧力が身についてくるんですよ。上手い人だけ集めてその場ですぐできるかと言うと、なかなかそうもいかない。だからハーモニーはチームワークが大切じゃないかな。

田家:有賀さんが選んだ本日最後の曲です。2015年の「ALFA MUSIC LIVE」から「アメリカン・フィーリング」。

Rolling Stone Japan 編集部

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