性差別だけではない「フェミニズムのニューウェイブ」を描いた映画

左:キャスリーン・ハンナ、右:エイミー・ポーラーとハドリー・ロビンソン(Photo by Getty Images, Netflix)

Netflixオリジナル映画『モキシー 〜私たちのムーブメント〜(原題:Moxie)にキャスティングされるまで、主人公役のハドリー・ロビンソンはビキニ・キルの名前を一度も聞いたことがなかった。ビキニ・キルは90年代のライオット・ガール・ムーブメントを語る上で欠かせないバンドだ。

2017年に出版されたジェニファー・マチューの同名のヤングアダルト小説をもとに、エイミー・ポーラーが監督した作品は、ロビンソン演じる内気な16歳の高校生ヴィヴィアンが匿名でフェミニストのZineを出版し、学校内で反乱を起こす姿を描いている。母親のクローゼットでライオット・ガール時代の記念品がいっぱいの箱を見つけたことも、ヴィヴィアンにきっかけを与えた――ビキニ・キルの代表作「Rebel Girl」のオープニングを飾るギターのハウリング、そのあとに続くキャスリーン・ハンナの独特の叫びを耳にするや、彼女はまるで1993年にタイムスリップしたかのように部屋中を駆け回る。ロビンソンも言うように、演技の必要はほとんどいらなかった。

「私が最初に聴いた(ビキニ・キルの)曲も“Rebel Girl”で、ヴィヴィアンとほとんど同じような状態になった」と彼女は言う。「YouTubeでキャスリーン・ハンナが歌っているのを見て、完全に心を奪われた。胸の奥から熱いものが湧き上がってきて、たちまち曲の虜になった」



90年代初頭、ハンナをはじめとする当時の女性たちが起こしたフェミニスト・パンク・ムーブメントを今まで知らなかったことに「自分でもすごく驚いた」そうだ。「フェミニズムの歴史で、あの時代はとても重要な転換期なの」と本人も言う。そうした一種の気づき――そしてライオット・ガールの主張にもとづいて、ムーブメントを新たな時代へ牽引しようとする心意気――こそ、ポーラー監督とマチューが若い世代に伝えたいと願っていることだ。ハンナ個人にとってはそれがすべてだ。

「若い子たちにはライオット・ガールのいい部分を受け継いで、劇中で私たち(がやった)よりももっと上手く交流をはかってほしい」と彼女は言う。「若い子たちがしっかり批評して、そこからさらにいいものを作っていってくれるといいと思う」

Translated by Akiko Kato

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