性差別だけではない「フェミニズムのニューウェイブ」を描いた映画

左:キャスリーン・ハンナ、右:エイミー・ポーラーとハドリー・ロビンソン(Photo by Getty Images, Netflix)



原作者と監督が語るフェミニズムとの出会い

映画版『モキシー』はマチューの原作にかなり忠実に描かれている。ヴィヴィアンは体育会系の男子のいやがらせ、不当なドレスコード、ヤレる女ランキングなど、女子生徒に対する校内での差別的な扱いにうんざりしていた。彼女自身はそうしたいやがらせの対象から免れていたが、新入生のルーシー(アリシア・パスクァル・ペーニャ)が男子生徒の怒りのはけ口になったことで行動を起こした。母親の古いZineを見つけた後、彼女はひそかに『Moxie』というタイトルでZineを出版し、校内での不正を訴えた。たちまち彼女のプロジェクトはムーブメントへと発展し、校内の女子生徒全員を巻き込んでいく。

マチュー自身のライオット・ガールとの出会いは、なんとも奇妙な話だが、かなりメインストリームの情報源がきっかけだった。「雑誌セブンティーンで初めてライオット・ガールの記事を読んだのを覚えている」と彼女はローリングストーン誌に語った。「いま考えれば、ライオット・ガールの子たちは(そんな雑誌に載るのは)嫌だったでしょうね。でも私みたいに、そういうシーンとは縁がなかった女子はワクワクした。すごく保守的なカトリック系の高校に通っていたから、記事を読んでとにかく魅了されたのを覚えている」

シカゴの大学に通い始めると、マチューはさらに深くのめりこみ、『Jennifer』というZineを制作。ビキニ・キルやスリーター・キニーの音楽に親しんでいった。現在は作家として、また教師として、職場のテキサスの高校でフェミニストクラブを支援しながら、ライオット・ガールのミッションを果たし続けている。「若いフェミニストの活動や彼女たちの関心を間近で見ています」と本人。「私にとってフェミニズムは――ライオット・ガールを通じて知った時からずっと――『悦び』や『解放』という言葉を連想させるものです。事前に用意された社会規範から自分を解放するんです――私たち全員がすっかり完全に自分らしくなれたら、世界はどんなによくなることか」

映画の中でヴィヴィアンの母親を演じているポーラー監督は、マチューの原作のそこかしこに自分自身の姿を見出した。彼女もまた同じような形で、当時の音楽やムーブメントに出会ったのだ。若い学生でコメディアンだった彼女は、シカゴのミュージックストアをはしごしてはZineを探して回り、ハンナや彼女の仲間たちの音楽から勇気づけられた。「あの当時は女性たちが、音楽業界で自分たちの声をどうすれば表現できるか、自分たちの関心事を活動の一環としてどう表現するか、試行錯誤していた時代。あの曲は、そんな時代を象徴する1曲だった」と監督。映画の制作過程で、音楽が物語の重要なパートになることは監督にもよく分かっていた。「(映画の中で)音楽は橋渡しのような役目をしている」とポーラー監督。「若い子たちが初めて音楽を聴いて、もっと広い視野で曲の意味を理解した瞬間の気持ちをとらえたかった」

Translated by Akiko Kato

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