性的暴行罪で収監中の元大物プロデューサー、有罪判決に控訴

2020年2月24日、米NY州マンハッタンの法廷に出廷したハーヴェイ・ワインスタイン被告 。(Photo by Seth Wenig/AP)

米ハリウッドの大物プロデューサーとして過去に悪行を繰り返してきたハーヴェイ・ワインスタイン被告が、2件の軽性犯罪で有罪となった2020年の判決に異議を申し立て、控訴した。ニューヨーク・タイムズ紙が報じている。

ニューヨーク州最高裁判所に提出された控訴状は、ワインスタイン被告を告発者した数人の証言が本来認められるべきではなかった、という主張を中心に展開している。裁判の発端となった2人の被害者、ミミ・ハレイさんとジェシカ・マンさんの証言の他に、検察側の証人として4人の女性――アナベラ・シオラさん、ドーン・ダニングさん、タレル・ウルフさん、ローレン・ヤングさん――が陪審の前で「過去の悪行」を証言し、ワインスタイン被告の性的暴行のパターンを詳しく語った。

被告弁護団は、ダニングさん、ウルフさん、ヤングさんの証言が被告の起訴内容から不当に関心を逸らし、代わりに本裁判で告発されていないことに光を当てた、と主張。90年代にワインスタイン被告からレイプされたとするシオラさんの証言も問題視している。ただし陪審は、シオラさんの証言が裏付けとなるはずだった2件の略奪的性的暴行罪では最終的に無罪を言い渡した。

「簡潔に言えば、検察はワインスタインの行為ではなく、人格を裁判にかけた」と控訴状には書かれている(ローリングストーン誌のコメント依頼に対し、ワインスタイン被告の弁護を務めるアーサー・アイダラ氏から返答はなかった。マンハッタン地区検事局サイ・ヴァンス検事の広報担当者は、「裁判所に書面で返答する」と答えた)。

ウルフさんとその他6人の告発者(ただし今回の裁判には参加していない)の弁護士をつとめるダグラス・ウィグダー氏も声明を発表した。「ハーヴェイ・ワインスタイン被告の刑事控訴は、バーク判事のもとで行われた公平な裁判と、理性的で思慮深い陪審の判断を覆そうとする被告側の無謀な試みです。たとえ控訴しても、彼の有罪と懲役は変わらないと確信しています」

控訴の理由としては、ウォールストリートジャーナル紙がいう「過去の悪行」の証言に加え、陪審員の1人がワインスタイン被告に偏見を持っていたこと、その陪審員が陪審員選任手続きの際に、自分が書いた自叙伝は若い女性と「略奪的な年上男性」との恋愛関係を描いたものではない、と言って弁護士を誤解させたことが挙がっている。さらに被告弁護団は、証人を呼んで検察側の証人に反証しようとしたが、判事から不当に禁じられたとも主張している。そうした証人の1人は、女性はレイプをでっちあげたりしない、レイプの記憶は決して消えない、と言う精神科医の証言や、ワインスタイン被告の捜査に加わり、被告から性的暴行を受けたと嘘をついたとおぼしき女性の取り調べを行ったニューヨーク市警察の刑事の証言に反論するはずだった。

Translated by Akiko Kato

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