KIRINJI・堀込高樹が語る、新体制への移行と「再会」に隠された物語

若い世代から愛される未来

―ちなみに、小森さんが手掛けているような国内の音楽シーンについては、どんな印象を抱いていますか?

堀込:Official髭男dismは出すたびに曲がよくてビックリします。ノリにノってるのが伝わってきます。メロディのセンスが今一番いいと思います。星野源さんやKing Gnuの活躍しかり、今は音楽的にかっこいい人が売れていて、「ここ数年で何が起きたんだろう?」と思いますね。ウカウカしてられないですよ。

―でも、「KIRINJI好きです!」と若いミュージシャンから言われる機会も増えたのでは?

堀込:おかげさまで、最近はかなり多いですね。特に30代よりも下の世代。この間のライブはVaundyくんや、さとうもかさんが観に来てくれましたけど、彼らも20代ですもんね。「親が聴いてました」と言ってくれる方もいますし、「エイリアンズ」がCMに使われたのも関係あるのかもしれない。あとはやっぱりサブスクの影響でしょうね。

―ひょっとしたら、今が一番人気があるんじゃないですか。

堀込:不思議ですよね、昔はこんなに雑誌とかウェブで話題に上らなかったから(笑)。最近はリリースがなくても取材の依頼が来る。ありがたい話です。


Photo by Kana Tarumi

―「関ジャム」のスペシャル(※)はご覧になりました?

※2021年3月3日放送「関ジャム 完全燃SHOW ~J-POP20年史 2000~2020プロが選んだ最強の名曲ベスト30~」

堀込:僕は見れなかったのですが、「紹介されてたよ」という話は人づてに聞きました。「エイリアンズ」がランキングに入ったんですよね?

―16位に選ばれてました。「エイリアンズ」は泰行さんの曲ですが、まさかキリンジがTV番組で、SMAPなどと並んで紹介される未来が訪れるなんて……。

堀込:“あのころの未来に ぼくらは立っているのかなぁ”みたいな。ごめん、思いついたから言っただけですけど(笑)。

―(笑)そういう流れもあって、若い世代を中心にファンが増えている状況は確実にあると思うんですよね。そのなかで、昔のキリンジが再評価されるだけではなく、今のKIRINJIが聴かれていることに手応えを感じる部分もあるのでは?

堀込:昔のミュージシャンの作品と出会って、「今はどんな感じなのかな?」と思って調べてみたら、ベスト盤とセルフカバーばかり出しているみたいなこともあるじゃないですか。それは自分の将来のあり方として、絶対に避けたいと思っています。その気持ちは今も変わりないですね。オリジナル作品で魅力のあるものを出し続けなければ、という気持ちが常にあります。

―このあともリリースは続きそうですか?

堀込:そうですね。年内にアルバムを出すことを目標に曲作りを進めています。

―「再会」に参加したのは千ヶ崎さんだけでしたが、今後は他のアーティストとの繋がりも増えて、サウンドのバリエーションも広がっていくのかなと想像しています。

堀込:これから作るアルバムには、いわゆるポップスから多少逸脱したような曲を入れてもいいのかな、とも思っています。『cherish』ではダンサブルなサウンドに寄せたので、今度はもう少し振り幅を持たせるというか。でも、あえて振り幅を抑えたからこそ『愛があるだけ〜』と『cherish』が高く評価されて、「KIRINJIってこういうふうに聴けばいいんだ」と伝わったのもわかる。だから幅を広げることに不安もありますが、そこはしっかり考えながら作っていきたいです。




KIRINJI
「再会」
2021年4月14日リリース
https://jazz.lnk.to/KIRINJI_SAIKAI


Blu-ray / DVD
『KIRINJI LIVE 2020 -Live at NHK Hall-』
2021年5月26日リリース
予約:https://store.universal-music.co.jp/artist/kirinji/


堀込高樹 plays “あの人が歌うのをきいたことがない”
2021年5月3日(月)、4日(火)ブルーノート東京
出演:堀込高樹(Vo, Gt) 、千ヶ崎学(Ba)、楠均(Dr)、林正樹(P)
※5/4(火)2ndショウのみインターネット配信(有料)実施予定
※アーカイブ配信視聴期間:5/7(金) 11:59pmまで
ブルーノート東京HP公演ページ:
http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/takaki-horigome/

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